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どちらにかかりたいですか?
2016/08/24
昨日は、12時間飛行機に乗り、更に乗り継いでヨーロッパのある国にたどり着きました。画像など、機会があれば載せたいと思っています。

今回の旅行の先立ち、先週の土曜に新潟市の書店に行ってきました。今回の旅行中に読む本を購入するためです。

半日以上飛行機に乗っており、インターネットもできない環境です。となると、本を読むのが効率のいい時間の使い方だと考えました。一応、ノートパソコンも持参したので、それで仕事を使用とも考えたのですが、前日に調子の悪さが再発して、なかなか起動しません。なおさら、やることが読書しかなくなります(汗)。

なお、今はちゃんと起動したため、こうやって書いています(笑)。

私が買う本はたいていはアレルギーの本です。ただ今回は違う本も持ってきました。夜尿症関連の本です。

夜尿症は、アレルギーのように面倒くさがって「どうせ治るから、様子を見るように」という小児科医もいるでしょうが、推定でアレルギーの次に困っている人の多い病気のようです。困っている患者さんがきわめて多い病気と言えます。

今回買った本は、小児科医が扱う多くの病気をガイドラインを中心にまとめたものでした。実は、数年前に出された本も持っており、私の遭遇した病気はその本に沿って治療法を選択したこともあります。その本が改訂されたので、迷わず買ったのですが、内容を見て驚きました。治療法がかなり異なるからです。

正直、私の診たことのないような病気まで把握していませんが、頻度の高いアレルギーや夜尿症はこんなに数年で治療法が異なっていることに驚いています。前述したようにアレルギーも夜尿症も、子ども達の病気で1位、2位くらいに頻度が高い病気なのです。

他の小児科医が、夜尿症の治療をどれだけまじめにやっているか、よく分かりませんが、ガイドラインに沿っていない患者さんも結構多そうです。多くの医師が使い慣れた治療を優先しますので...。しかしそれが望ましくないこともあります。夜尿症の場合、以前優先順位の高かった治療が副作用の問題もあり、かなり限定的な使い方を推奨しているのです。

実は、アレルギー以外でも夜尿症に関しては治療法の変化に気づき、ガイドラインに沿った治療を何年か前から行っていました。その治療法を行うことで、治療開始当日から夜尿が治ったなんてケースも経験しています。

多分、その薬がガイドラインに掲載される以前から使用しています。専門でなくとも、かかりつけの患者さんから相談されて、調べてみることで「この治療法の方が合っているんじゃないか」と考えて、使い始めたのがきっかけでした。

自分で言うのも何ですが、こういう姿勢が医師には求められるのではないでしょうか?。確かに使い慣れた薬を出すことは間違いではないでしょうが、夜尿症では推奨されない薬に成り下がっています。かえって危険ということもあるかもしれません。

普段はアレルギーの「日進月歩」について話していますが、夜尿症もこんなにも進歩していることを再認識しています。残念ながら、ガイドラインの変化を知らない小児科医も結構いるはずです。ガイドラインに変化があっても、各医師には通達なんてありませんから。

最新情報は、自分からつかみ取り、治療法を試してみて、自分の血となり肉にしていくしかないのです。ボーッとしていると、時代に遅れてしまうし、古い治療を患者さんに押し付けている医師なんて相当数いるはずです。

こういうことが野放しにされていて、日本の医療制度では「どの医者にかかっても同じ値段」というのはおかしいとしか言いようがありません。努力をせず、患者さんに誠意を見せずに、“楽をして儲かる”、今の医療はそういう側面も持っています。もちろんまじめな医師もいますが、提供する医療に月とスッポンほどの大きな差が生じています。

これに対し、国はノータッチで、努力をしない医者をのさばらせていると言えなくもありません。医療にアタリ、ハズレを作り、それを解消しようとしないのは、国や医師会の責任だろうと思っています。

医師には、最新知識も駆使した上で、患者さんの病気を「絶対に良くしてやろう」と思っている医師と、最善を尽くさない医師がいます。皆さんは、どちらにかかりたいと思われるでしょうか?。

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