小児科 すこやかアレルギークリニック

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魚アレルギー
2016/10/25
昨日、隣町から患者さんが受診されました。

食物アレルギーで相談に来られる患者さんのほとんどが、乳児期にアトピー性皮膚炎の存在を見逃されています。逆に“見事”というしかないように思います。多くの小児科医、皮膚科医がアトピーの診断ができないという根拠はここにあります。

この患者さんは、卵と魚にアレルギーがあるようでした。食物アレルギーがあれば、食べられそうなのか否かを考えるが小児科医の役目ですが、食べないよう指導されていました。

食べたことがなければ、食物アレルギーかどうかも分からない訳です。「本当に食物アレルギーなのだろうか?」、「少しでも食べさせてあげたい」とか思わないんでしょうか?。非専門医は、こういうケースに遭遇したら速やかに専門医に紹介すべきなのでしょうが、多くの小児科医がそういう発想すらないことが不思議でなりません。

この患者さん、卵は結構食べています。よくあるパターンでしょうが、卵料理だけ除去していました。そうだと、卵焼きで負荷試験をやることになります。来週やる予定です。

あとは魚を全部除去していると言います。魚はある意味、厄介と言えるかもしれません。もしかしたら、赤身、白身、青身魚のように、青身魚だけ除去すればいいというように単純に考えている方もいるかもしれません。そういう分類ができないとされています。

今月8、9日と日本小児アレルギー学会がありました。いろいろ学べて楽しいのですが、もう一つの楽しみは、新しい本を買ってこられることです。今回は食物アレルギー診療ガイドライン2016を3冊ゲットしてきました。1冊は当院待合室に置いてあります。

ガイドラインを守っていない医療をしている医者の待合室には、ガイドラインらしいものは置いていないはずです。医療って、“その程度のもの”だったりします。

昨年のすこやか健康フェアの講師を務めてくださった伊藤浩明先生が出された「食物アレルギーのすべて」(診断と治療社)という本も買ってきました。分厚い本ですが、食物アレルギーの最新情報が満載されています。

読み始めているところですが、パラパラ見た時にいくつか面白いデータを見つけ、先週の土曜の講演でも使わせていただいています。その一つが魚アレルギーに関するものです。

魚アレルギー患者へのアプローチという図にこう書いています。
@魚出汁
Aマグロ缶詰(水煮)
Bパルブアルブミン含有量の少ないマグロ、カジキ、カツオの煮魚
C検査結果を参考に摂取頻度の多い魚など

パルブアルブミンとは、魚の主要なアレルギーを起こすたんぱく質です。ですから、パルブアルブミンが少ない魚で負荷試験を行うように勧めています。また、シーチキンを2番目に勧めているのは、水産加工の際、高圧で加工したりすうせいでややアレルギーを起こしにくくできるようです。実際、魚の缶詰は食べられるという患者さんも結構います。

ということで、この患者さんには、この本に沿ってアプローチしていこうと思っています。

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