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アトピー性皮膚炎との関係
2017/10/19

「風雲急を告げる」という言葉があります。

調べてみると、「今にも大きな変動が起きそうな差し迫った情勢」という意味だそうです。食物アレルギーの分野は“風雲急を告げている”という状況なのだろうと思っています。現在進行形ですね。

田舎の開業医は、「オレはこれまでこの方法でやってきたんだ」と勝手に自分のやり方に自信を持っていて、アトピー性皮膚炎の診断もできず、キンダベートなど効かないステロイド軟膏をおっかなびっくり使っているのが現状で、湿疹から食べ物が入ろうが「オレの知ったこっちゃない」という感じです。

田舎の開業医なんて、その程度なもので、多くを期待してはいけないということだろうと思っています。患者さんが期待する医師の姿とは、残念ながら、大きくかけ離れているというのが真実だろうと思っています。

となると、期待すべきは学会ということになります。

ただ、私の中でしっくりきていないことがいくつかありますが、今日はその一つをお話ししたいと思っています。

この図って結構みるものだと思います。アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの関係を表しているのだそうです。

この2つの関係性は「乳児期」、「幼児期」、「学童期・成人期」で異なるというものです。つまり、乳児期はアトピー性皮膚炎に食物アレルギーの関与が大きく、幼児期は関与がやや減り、学童期には無関係となるということを表しています。

私の認識では、乳児期には卵や乳を食べさせることで湿疹(アトピー)が悪化すると説明されていました。実際に日本の第一人者もそう解説していたと思います。

皮膚科の先生は、当初は食べ物がアトピー性皮膚炎の悪化要因ではないと突っぱねていて、小児科側と意見が合わず、白熱した議論になっていたと言います。食べ物を食べて、湿疹が悪化することがあるのは事実だと小児科側が押し切ったように捉えていました。

現在、「経皮感作」で食物アレルギーが作られることが分かってきて、皮膚をキレイに治療することが食物アレルギーにもいい影響をもらすと言われています。プロアクティブ治療をすることで、卵やミルクの数値も下がることが報告されています。

以前は、アトピー性皮膚炎の治療が軽視されており、専門病院でもほとんどガッチリ治療していませんでした。そんな状況で、食べ物を食べて、体が温まり、皮膚が痒くなってアトピー性皮膚炎が悪化したとか、そういうことはなかったのでしょうか?。

赤ちゃんのアトピー性皮膚炎が食べ物によってどれだけ悪化するのか、正直私にはよく分かりません。皮膚をキッチリ治療していると、食べ物で悪化したという話はほとんど聞きません。

今回提示した図がいまだに学会で使われています。私は、学会側が私の疑問を明らかにすべきだと考えています。いや、私だけではないでしょう。でも、これを解明しようとする動きがあるとは把握していません。

生じた混乱を終息させるのは、学会の役目なのだろうと思っています。

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