小児科 すこやかアレルギークリニック

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捉えどころがない
2018/04/23
食物アレルギーって、捉えどころがない部分もあるんだろうと思います。

基本は、食べて再現性を確認することです。例えば、卵を含む離乳食を食べて、アレルギー症状が出たとします。多くの医師がアレルギー採血を実施し、卵白やオボムコイドを検査すると思います。

卵が陽性なら「卵アレルギーでしょう」ということになるし、微妙な値なら、専門医なら白黒ハッキリさせるために負荷試験を行うことでしょう。それで症状が誘発されれば、再現性が確認できたことになります。

これなら、卵アレルギーが証明できたことになるのでしょうが、体調の善し悪しで症状が出たり、出なかったりすることもあります。ちょっと“捉えどころがない”という感じだと思います。

卵の負荷試験には、加熱全卵が用いられることが多いと思います。当院ではMサイズの卵を1個使った卵焼きを用いることが多いです。

それを用いて負荷試験をやり食べられたら、「卵アレルギーは治った」と判断しています。多くの方は異論はないだろうと思います。

ただ、中には2個とか、5個分食べて症状が起きても、“卵アレルギー”ですよね?。またこれもよくある話ですが、半熟の部分があり、それを食べてアレルギー症状を起こす患者さんもいます。

ちなみに、よく加熱した卵と、半熟や生卵だとかなり抗原性が異なります。十分加熱して、ようやく食べられるようにしているという感じです。

ですので、便宜上、加熱全卵1個を食べられれば卵アレルギーは治ったことにしようという定義が、患者さんによっては当てはまらないこともあるのだろうと思います。

私の経験でこんなケースもあります。牛乳200mlを連日摂って、学校に行くという生活を1年数ヶ月続けており、何も起きなかったため、牛乳アレルギーは治ったと判断した患者さんがいました。

ある日の給食のメニューは、牛乳200mlに更にヨーグルトが1つ付きました。給食後に友人とバドミントンをかなり激しくやったそうです。その結果、アナフィラキシーを起こしてしまいました。余計に乳を摂り、更に運動を加えたことで強いアレルギー症状が誘発されてしまったのです。

やはり、牛乳200mlを摂れれば、牛乳アレルギーは治ったという“目安”に足をすくわれた格好だと思います。

このように加熱全卵1個や牛乳200mlを摂れたら、卵や牛乳アレルギーが治ったとする簡単なものではないことがお分かりいただけたと思っています。

食物アレルギーは捉えどころがないと感じています。

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