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夢のある話
2018/06/08

昨日、ある意味、夢のない話をしました。

私は開業医の立場で負荷試験にこだわり、それなりのクオリティーで年間かなりの件数をこなしています。実際に開業医が日常診療と同時に実施している訳で、開業医でも負荷試験はできないことはないということを立証しているつもりです。

一方で、学会幹部は開業医には負荷試験をさせない方針のようです。軽症の食物アレルギーくらいはかかりつけの開業医が診てくれなければ、専門病院も大変なはずですが、負荷試験を自分達のものにしておきたいのでしょうか?。

当院もいろいろな工夫をして、食べさせる努力をしています。それが昨今の流れで、倫理委員会を通さないと学会発表できなくなってきています。今の流れでは、開業医に負荷試験をしてもらいたいという私の考えは、採用されなくなってしまいます。

これでは、お先真っ暗な訳です。

いま、私のやっていることは、いかに経皮感作を防ぐかという課題に取り組んでいます。つまり、食物アレルギーにさせないということです。

この場でも言っているように、経皮感作は生後3か月から一気に進みます。生後6か月を超えると、6、7割は卵アレルギーに傾きます。

となると、「超早期」、つまり生後1、2か月には対応をしないといけないことになります。アトピー性皮膚炎の湿疹部分から感作を受けると言われていますので、早期からアトピー性皮膚炎を治療してしまえば、感作は受けないのかもしれません。

早期にアトピー性皮膚炎と診断して、治療すればどうなるでしょうか?。

TARCというものがあります。アトピー性皮膚炎の病勢を表す、採血で調べられる項目です。ある一例を示します(画像。

生後2か月で、湿疹のために今年の1月に当院を初めて受診されました。私はアトピー性皮膚炎の初期であろうと考え、説明の上で治療を開始させていただきました。生後2か月の時点(図の右端)で卵も乳もどちらも感作を受けていません。

1か月後にTARCはかなり低下しています。つまり、アトピー性皮膚炎の治療が上手くいっていることを意味しています。

今年の5月、離乳食も始まるということでアレルギー採血を行わせていただきました。結果が左端になります。

卵も乳も大豆も小麦も、いずれも経皮感作を受けていません。TARCも順調に下がり、皮膚治療の手も緩めているところです。

当院のデータでは、生後6か月では6割以上の患者さんが卵が陽性化してきます。もしかしたら、アトピー性皮膚炎の治療が上手くいき、そのままだったら受けていたはずの「経皮感作」を抑えているのかもしれないのです。

あまり、こういうデータは世に出ていないと思いますが、早期にアトピー性皮膚炎を見つけ、治療に結びつけられれば、食物アレルギーは予防できるのでは?と本気で考えています。

多くが“乳児湿疹”などと言われ、中途半端な治療を受けて、「経皮感作」が進行しているのが現状で、その波にあらがうことは可能だと考えています。

ねっ、夢のある話でしょう?(笑)。

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