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本邦初!?
2018/06/18
昨日の父の日は、遠征でした。

遠征って言っても、出張ではなく、日光江戸村に行ってきました。来週学会で遊びに行けないので、子ども達の喜びそうなところへ連れていきたいと考えていました。

今週末は、学会で休診になります。ポスター発表なので、ポスターの準備をしないとと思っています。

ここ数年、いかに経皮感作を防ぐかということが私の頭の中を占拠しています。経皮感作はいつ頃から起きるのか?、どんな湿疹から起こるのか?など、分からないことだらけでした。

この辺は、当院のような田舎の開業医でも診ていますので、答は出せそうです。というか、この場でもこの解答は書いていると思います。

つまり、生後3か月から一気に経皮感作が進みますし、5、6か月で6割超となります。また、当院の集計では、湿疹のほとんどがアトピー性皮膚炎でした。

となると、経皮感作を防ぐ対応は、アトピー性皮膚炎を早く見つけ出し、治療することで“湿疹”を改善させ、皮膚から食物を入らないようにするということになりますよね?。

実は、アトピー性皮膚炎を早期に見つけるのは、現行の診断基準では難しいのです。何故なら、2か月以上の慢性の経過を確認しないといけないから。例えば、生後1か月から湿疹が出て、アトピー性皮膚炎を疑っても、2か月後の生後3か月にならないと診断を確定できないのです。

それが早期発見・早期治療を阻む最大のネックでした。これに対し、日本の第一人者からのコメントはほとんどありませんでした。2か月も待ってはいけない、という認識はあるのは確かですが...。

アトピー性皮膚炎の病気の勢いを表す「TARC」という採血項目があります。保険診療でも認められ、測定は田舎の開業医でも可能ですが、あまり活用されていないようです。

アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚の状態が悪ければ、TARCが高値になり、治療すると低下し、ぶり返すと数値が再上昇するという動きをします。つまり、皮膚状態を反映するのです。

日本の第一人者は「TARCは診断には使えない」と口をそろえておっしゃいます。実は、これに対し、真っ向反論したいと思っています。

当院のデータでは、アトピー性皮膚炎の湿疹が重症で、面積が広ければTARCは高値となります。生後1、2か月でも十分高い値をとります。ただし、かなり少ないのですが、アトピー性皮膚炎の診断基準を満たしているのに、TARCが低いというケースもあります。

ですから、TARCが低いとアトピー性皮膚炎でないとは言えないと考えていますが、多くのケースでTARCがかなり高いのです。つまり、アトピー性皮膚炎の診断の確定には使えなくとも、非常に参考になるということです。

これについては、2月の食物アレルギー研究会で発表させていただきました。これだけの低年齢で、多くの患者さんについて調べたものはなく、本邦初だと考えています。

多くの専門医がそうなんだろうと思ってはいても、実際に数字で示したのは当院が初めてだと思っています。

TARCの重要性を分かっていない医師も少なくないでしょうから、今年は学会発表の嵐となっています。

ただし、TARCは基準値はあるものの、生後6か月以降からしか出されておらず、乳児期早期の基準値が世の中には存在しません。ですから、調べようとしない医師が多いというのもありそうです。

経皮感作を防ぎ、食物アレルギーを予防する重要項目として、その大切さを全国に訴えていきたいと思っています。

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