小児科 すこやかアレルギークリニック

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診断しているのに
2018/07/07
当院には、毎日のように新規受診の患者さんがいらっしゃいます。

先日、ぜんそくの患者さんが初めて当院を受診されました。他の医療機関に通院されていたので、本当にぜんそくなのか、重症度はどれくらいで、どういう治療をしたらいいのかを考えることになります。

ゼーゼー、ヒューヒューを繰り返すのがぜんそくの定義ですので、ぜんそくと診断されることはすぐに分かりました。かなりの頻度で発作を起こしているようです。

今のぜんそく治療は、結構シンプルです。軽症は、オノンやシングレアという内服薬を用い、重いとフルタイドやパルミコートなどの吸入ステロイド薬を使用します。

ぜんそくは適切に治療しないと、ゼーゼー、ヒューヒューを繰り返すことで、更にぜんそく発作を起こしやすくなる負のスパイラルに陥ることがあります。

この患者さんの場合、症状が進行しており、かなりの重症であると判断されました。となると、前医でこれまでどんな治療を受けてきたのか気になります。

紹介状も何もないのですが、最近はお薬手帳という便利なものがあります。それを見れば、これまでの治療が分かることになります。

見てみて、驚きました。使用されていた薬は、咳止めと痰きりのみで、ゼーゼー言った時にリンデロンというステロイドの内服薬が使用されていたのです。

前医でも、さすがにぜんそくという診断はついていたものの、先程述べたオノンやシングレアなどの内服薬すら処方されていませんでした。リンデロンは、ぜんそくの治療薬ではなく、ぜんそく発作が極めて悪化した時にレスキュー的にやむなく使う臨時の薬です。

要するに、ぜんそくは軽くなければ、日々ぜんそくの治療を行い、ぜんそく症状を起きないように予防する必要があるのに、そういった治療が行われていなかったのです。これでは、発作を繰り返してしまいます。

私は、患者さんの症状を鑑み、内服薬の他、吸入ステロイド薬を使った方がいいと考えました。治療が遅れたことも含め、がっちりと治療した方いいと判断しました。

ぜんそくやあと、アトピー性皮膚炎もそうですが、症状に見合った治療をすると、いくら慢性的な治りづらい病気であっても、速やかに軽快していきます。この患者さんは、後日再診していただきましたが、咳もかなり減り、ゼーゼーもほとんど言わなくなったそうです。

当院に来られる患者さんは、診断が正しくなく、適切に治療されていないお子さんが多いのですが、ちゃんと診断されているにもかかわらず、まったく治療されていなかったというケースは珍しいと思います。

かかりつけを信用して通うのもいいですが、あまりにも症状を繰り返す場合は、相談して欲しいと思っています。

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