小児科 すこやかアレルギークリニック

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もどき
2018/07/31
昨日、診療中に新規受診の患者さんがいました。誤食で、アレルギー症状を起こしていました。

他県の方だったのですが、知り合いが上越市に引っ越してきて、お子さんが当院にかかっているため、当院の受診を強力に勧められたのだそうです。

誤食で、アナフィラキシーではないものの、緊急受診となると、普通は地域の救急外来に駆け込みますからね。何たる偶然...。

幸いにもアナフィラキシーではなかったため、内服で様子をみることにしましたが、卵白はクラス6だそうです。どの医療機関にかかっていて、誰が主治医なのか、どういう治療方針なのか、聞いてみることにしました。

地方の総合病院にかかっていたそうですが、主治医は診療援助に来ている、大学のナンバー2の先生でした。学会などを通じで、名前は聞いたことがあります。

「じゃあ、それなりのことをされているはず」と思ったのですが、完全除去なのだそうです。負荷試験どころではないとも言われたようで、負荷試験は一度も受けたことがないそうです。

聞けば、そういう話はあったようですが、卵の誤食でアナフィラキシーを起こしたため、立ち消えになっていたようです。既に小学生で、卵の完全除去中という状況だったのです。大学のアレルギー専門医が診ているにもかかわらずです。

「おいおい」と思ってしまいました。

問診している親御さんにアトピー性皮膚炎がありそうです。それからすると、アトピー性皮膚炎を遺伝してしまい、乳児期に湿疹の状態が悪くて、経皮感作で卵アレルギーになってしまったのだろう、ぜんそくやアレルギー性鼻炎はないだろうか?と、私の頭の中で予想が駆け巡ります。

ひとつひとつ確認していくと、アトピー性皮膚炎はひどかったようですが、アトピーと診断されていなかったようです。咳も長引き、軽いぜんそくも合併していましたが、“風邪”と言われていたようです。

ここまでくると、「何やってんだか」というか、専門医“もどき”ではないかと思ってしまいます。

私なら完全除去にはしない。少しでも卵を食べさせて、食べられる範囲で食べることで、卵さんと少しでも仲良くなってもらいたいと考えます。学会幹部は、加工品を食べさせることに反対しているようですが、毎日食べる側に立てば、加工品は「あり」なはず。

クッキーなどは小麦と抱き合わせで焼いてありますので、相当にアレルギー症状を起こしづらくできるようです。これってとても大事なことではありますが、学会は認めていないので、その辺の研究は進んではいないようです。

旅先での受診だったため、もしかしたら、最初で最後の受診だったかもしれません。現主治医よりは、私の方がまともなことをやっていると思えたので、私ならこういうアプローチで治療していくという話をさせていただきました。

もしかしたら、大学に持ち帰って、スタッフと相談になるのかもしれません。もう少し本気で対応してあげないと、患者さんが可哀想です。

このままではいけません。確かに食物アレルギーは、除去を続け、いつのまにか治っていたなんてことも以前はありました。そういう“いい話”は広がりやすいものの、その一方で、卵を一切口にすることなく、食べられない状態が続いているという“悪い話”になっていることも結構あるように思います。

親御さんは地元に帰って、私の話を主治医にしてみるそうなので、今よりはいい方向へと言うか、せめて私がやっているくらいの医療はやってあげられればと願っています。

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