小児科 すこやかアレルギークリニック

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“7割”はどこへ
2018/08/02
今年は、学会発表を10回行う予定です。

全国学会は6つ、大規模でないものは4つとなっています。その売りの一つが、湿疹で受診した乳児のうち、生後3か月から経皮感作を受けているというものです。この場で何度も書いていますが、これは驚くべきことです。

生後3、4か月は3割強、5、6か月以降は6割強です。生後6〜12か月でくくってみると7割強!!。“乳児湿疹”などと近所の皮膚科医、小児科医から言われて、何度も通わされている赤ちゃんは全国津々浦々でいるはずです。

私の見解では、その多くがアトピー性皮膚炎であり、適切に治療されてないと、荒れた湿疹部分から卵が入り、卵アレルギーに傾いていきます。

残念ながら、食物アレルギーを防ごうと考える医師はほとんどおらず、知識も情熱もない皮膚科医、小児科医に通っていては、卵アレルギーが増えていくことになります。

もし経皮感作を受けた赤ちゃんが、全員卵アレルギーを発症すれば、大変なことになります。ところが、「経皮感作」=「発症」ではないのだろうと思います。

どう考えてもアトピー性皮膚炎があり、皮膚科や小児科で“誤診”されて、卵アレルギーを発症してもおかしくないのに、「卵を食べています」という赤ちゃんは少なくありません。

これって、母が知らないうちに“治療”しているんだろうと考えています。

私の考えはこうです。経皮感作を受けると、誰も卵アレルギーを発症する準備がなされるのだろうと思います。しかし、食物アレルギーは極めて軽症なものから、重症なものまで程度の差があるのだろうと思います。

卵と言えば、離乳食では卵黄から与えていきます。徐々に卵白へとスライドさせていきます。超重症な卵アレルギーの患者さんは、この経過の中で発症していきますが、多くは軽いので、いわゆる経口免疫療法が行われて、発症せずに済んでいると思うのです。

ごくごく一部の患者さんが発症して、多くは知らない間に治ってしまっているのだろうと考えています。そう考えないと、7割の卵アレルギー予備軍の患者さんはどこへいったということなるのだろうと思います。

小児科医から湿疹のために採血をされて、「卵アレルギーがあるから、除去しなさい」なんて言われる赤ちゃんもいると思います。もしかしたら、かえって食べないことで、卵アレルギーに傾いているのかもしれません。

アレルギー専門医であっても、卵アレルギーは負荷試験をすれば分かると考えているのだろうと思いますが、乳児期は離乳食での卵の与え方でどうにでもなると言うか、結構とらえどころのないものだろうというのが私の現在の考えです。

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