小児科 すこやかアレルギークリニック

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不思議でならない
2018/08/06
今年は学会発表が多いので、土日がつぶれることが多くなっています。

夏休みの子ども達には申し訳ないと思っています。ということで、昨日は「芝政ワールド」に家族で行ってきました。

福井にある巨大プールのことです。駐車場は関西からのクルマも目立ち、全国有数のプールなのだろうと思っています。お陰で、日焼けした皮膚がちょっと痛い(汗)。

さて、いつも書いているように、食物アレルギーの発症予防に取り組んでいます。17年前から食物アレルギーにこだわった診療を始めて、「食物負荷試験」を多くの患者さんに知って欲しいし、検査を受けて欲しいと願って、取り組んできました。

この辺は、同業者の「抵抗勢力」がハンパないくらい強いため、未だに適切な食物アレルギー診療を受けられていない患者さんは、とても多いのが現状です。しかし、「食物負荷試験」という言葉を新潟県内の多くの人々が知るに至ったきかっけを作ることはできたかなと思っています。

なかなか目標達成が難しいと思っていたところ、湿疹からの「経皮感作」で食物アレルギーが起きることが分かってきて、食物アレルギーを発症予防できそうだということになり、そちらの方にチカラを入れるようになりました。

「食物負荷試験」は、アレルギーにこだわった医師は一生懸命やっていますが、そうでない大多数の小児科医は、「そんな面倒くさいこと、やる訳ない」という感じです。正しいことをやりたいと思う医師と、そうでない医師で、対応が異なります。

しかし、食物アレルギーの発症予防に関しては、多くの小児科医が、アレルギー専門医であっても、手をこまねいて待っている状態のようです。

何故そんな状況なのかと言えば、学会がほとんど何も動いていないからでしょうか?。昨年6月に小児アレルギー学会が、鶏卵アレルギー発症予防の提言を発表しました。それ以来、動きが全く止まっているように見えます。

この提言の元になったのは、成育医療研究センターの研究です。生後4、5か月のアトピー性皮膚炎の乳児をしっかりと皮膚治療し、生後6か月から卵を少量食べさせると、1歳の時点で卵アレルギーを8割減らすことができたという内容です。

専門病院であっても、開業医であっても、こういうヒントをもらった訳ですから、自分の施設で追試というか、同様のことをやってみて、やはり発症予防の効果があったかという学会発表は私の知る限り、ないようです。

先月は、全国学会で2回発表しました。皮膚科系の学会では、優秀演題賞という賞をいただいたのですが、小児科系の学会では、何もありませんでした。似たような内容の発表を行ったにもかかわらずです。

小児科医は、発症予防に関して、何ら一生懸命でないことを象徴しているように感じています。「成育の医師にはできるけど、自分にはできない」と諦めているようにしか見えないのです。この感覚が、私には理解できないのです。

私なんて、2年くらい前から取り組んでいます。その成果をいま発表しているのであって、そんな急には発表の準備なんてできないものです。

私の考えているのは、生後1、2か月の湿疹の出始めた時点から治療に取り組むべきであろうと考えています。おそらく世の中の99.9%以上の医師が、考えも及ばないであろう時点で治療を開始しなければ、スムーズな予防はできないであろうと思っています。

これまで取り組んできて、このことは確かであろうと確信しています。両親がアレルギー体質だったり、上の子がアトピーと食物アレルギーで苦労された親御さんが次に産まれる子どもをアレルギーにしたくないと考えているでしょうが、当院に相談もないことがほとんどです。様子をみているだけでは、どんどん確実に食物アレルギーに傾いていくことでしょう。

この場では、患者さんに対し、批判的なことは言ってきませんでしたが、医師も親御さんも、なぜもっと真剣に取り組まない?と不思議でなりません。

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