小児科 すこやかアレルギークリニック

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不思議でならない2
2018/08/07
時代は、「経皮感作」です。

いまだに食物アレルギーを発症するのに、皮膚以外のルートがあるのではないかとされていますが、私の経験上、ほとんどが「経皮感作」で起こるようです。食物アレルギーの患者さんに、乳児期の様子を聞いてみると、ほぼ全例に“湿疹”があるのです。

昨日、小児科医を中心に食物アレルギーを発症予防しようという気運が高まっていないと感じざるを得ないとお話ししました。

その“湿疹”がアトピー性皮膚炎なのかどう?か、どうしたらアトピー性皮膚炎の早期発見ができるのか?、どうしたら「経皮感作」を予防できるのか?など知りたいことは沢山あるはずです。

にもかかわらず、学会ではこういった発表が見当たらないのです。これは専門病院の調べるべきことですよね?。いや、義務なんじゃないでしょうか?。

アトピー性皮膚炎を早期に発見するには、私は「TARC」が有効であると主張しています。

「TARC」とは、アトピー性皮膚炎の状態を把握できる検査項目で、数字で表されます。皮膚の状態が悪いと増加し、治療すると低下します。保険診療でも認められており、大学病院から田舎の開業医まで、どこでも調べることはできます。

ただ、一部の分かった医師しか活用しておらず、アトピー性皮膚炎の有無という観点では利用されていません。私が有効であると主張しているだけ、という状況です。

某有名な先生も、アレルギーで有名な大学教授も、直接お聞きしましたが、「TARCは当てにならない」とおっしゃいます。かと言って、他に有効なものがあるかと言えば、ないようです。高価な医療機器を使って測定する、皮膚の水分量が有効かもしれませんが、現実的ではないと考えています。

私は「TARCは当てにならない」とおっしゃる日本の第一人者に真っ向反論しており、かなり参考になると学会で発表しています。そもそも、低月齢の赤ちゃんに実際にTARCをどれだけ測定されているのでしょか?と思ってしまいます。

私は測定した上で、実際アトピー性皮膚炎と診断した患者さんと照らし合わせ、約8割はTARCが高いことを確認しています。残りの2割が“当てにならない”のかもしれませんが、8割の確率で参考になると言っても構わないと考えています。

この辺は、アトピー性皮膚炎を早期に見つけ、治療に結びつけるには避けて通られないところであり、「経皮感作」を防ぐポイントになるところでしょう。もっと多くのアレルギー専門病院がこぞって研究しなければならないところだと考えていますが、現在の学会発表では当院くらいしか、データを出していないようです。

これが、今日の「不思議でならない」話です。

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