小児科 すこやかアレルギークリニック

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20代前半と後半
2018/09/21
昨日の外来は、ちょっと平均年齢が高かったです。

当院は、朝一番で食物負荷試験を行っています。通常は0〜2歳が多いでしょうか。その中に、20代前半の患者さんが混じっていました。

患者さんが中学生の時ですから、もう10年ほど前のことになります。アレルギー症状を起こし、クルミが疑われたようです。耳鼻科だったかを受診した際、アレルギー採血をすることもなく、何となくクルミが原因ということになったそうです。

それ以来、ずっとクルミを除去していて、シロクロつけたいという思いで、先日当院を受診されました。

こういう場合、当院では、アレルギー採血と皮膚テストを行っています。2種類の検査を行い、両方陽性なら、原因の可能性が高くなるし、逆に両方とも陰性なら、原因ではない可能性が高まります。

結果は、見事にともに陰性。ただ、10年以上も除去してきたため、自宅で食べてもらうには10年分の恐怖心が伴います。20代前半の患者さんに負荷試験を行うことは、まずありませんが、負荷試験を提案しました。

応じないのかなとも思っていましたが、昨日負荷試験で受診してくださいました。そして、無事にクルミ5粒を完食しました。

この結果から、クルミアレルギーは本当で、運よく治ってしまったのかもしれませんが、誤診され、無駄に10年以上クルミの除去にエネルギーを注いできたのかもしれません。そういうことがないように、食物アレルギーを疑われた時は、その時にシロクロをつけるようにすべきなのです。

午後になって、20代後半の患者さんが受診されました。海鮮料理屋で魚介類を食べ、アナフィラキシーショックに至ったということで、精査のための受診でした。

食べたものの種類まで明確ではないため、店側に問い合わせてもらい、これから原因食品を特定していくことになります。もちろん、エピペンを処方しています。

アナフィラキシー症状があり、救急搬送で病院を受診し、じんましんが出たということで、点滴をするからその前にトイレに行くよう病院側から促されたそうです。この会話自体は、どこの病院でもよくなされる会話だろうと思います。徒歩でトイレに行って、意識を失くして倒れ込み、アドレナリン注射を打たれたとのこと。

とても危険な状態でした。アナフィラキシーショックまで至ったという意味もありますが、アナフィラキシー状態で、1人でトイレに行かせるのは、極めて危険だという意味合いです。病院側に問題があります。

エピペン講習では、アナフィラキシーの患者さんをその場で安静にさせ、立ったり歩かせたりしないと話しています。こうさせないための指導なのです。

エピペンさえ処方すれば、それでおしまいと思っている医者もいるようですが、原因を特定して初めて、患者指導が完了します。時間がかかるかもしれませんが、何とかアナフィラキシーショックの原因を突き止めたいと思っています。

新潟県は、大人の食物アレルギーを診る医師がほとんどおらず、こんなことになってしまいますが、自分ができること、いやしなければいけないことは、責任を持って何とかせねばと考えています。

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