アトピー性皮膚炎は、慢性疾患です。 患者さんを診る時は、全員100%よくしたいと考え、治療に当たっていますが、現実的には完治は難しいと思います。治療目標は、治療することで、日常生活に影響なく日々を送れるようにすることだったと思います。 治療は、ステロイド軟膏をしっかりと使うことが大切です。多くの医師が、ステロイド軟膏の使い方が適切ではないとされます。治療の最初は、皮膚症状をキッチリと抑えるレベルのステロイド軟膏を選択することから始まります。 小児だと、体に「キンダベート」や「ロコイド」ではよくできないことが多く、ましてや大人に使う場合は“詐欺”的かなと思っています。やはり「ボアラ」や「リンデロン」クラスを使うべきで、成人では「マイザー」クラスを使うこともあります。 ほとんどの医師が、ステロイド軟膏の選択を誤っているのが現実だと思っています。あとは塗り方です。いまだに「できるだけ薄く塗って」とか「塗ったらすぐに止めて」とか指導しています。副作用が出て、訴えられたら困るということでしょう。 そんな中途半端なことをしては、患者さんの皮膚症状をよくできないのですが、自分の身がかわいい医師は、延々と同じ薬を処方し、いい加減な指導を繰り返しています。一番儲かるやり方でしょうね。 先日、小さなお子さんを連れた親御さんが当院を受診されました。アトピー性皮膚炎のようです。それならよくある話ですが、親御さんも受診希望でした。 聞けば、女医さんの皮膚科に通っており、当院で診て欲しいそうです。基本的に大人のアトピー性皮膚炎は診ていませんが、お子さんと一緒の場合で、希望が強い場合は診ることがあります。 大人のアトピー性皮膚炎は、責任を持って診る皮膚科医はほとんどおらず、どこにかかっていいか困り果てている患者さんは少なくないと思っています。これは私の地元に限らず、全国的なことだろうと思います。骨のある医療をする皮膚科医は、非常に少なく感じています。 今回の親御さんも、皮膚科に通っているそうでしたが、肩や腕、足は苔癬化といって象さんの皮膚のような硬く、非常に痒い状況でした。効かないようなステロイド軟膏を延々と処方しており、まさに患者の敵でしょうね。 普段は子どものアトピー性皮膚炎で、「TARC」を測定しています。アトピー性皮膚炎の湿疹を数値化したものと言えると思っています。湿疹が軽度のお子さんも採血させていただきましたが、1000ないくらいの高くない数値でしたが、親御さんは何と4200でした。成人の基準値は450未満とされますので、いかに高いか、いかに前医がいい加減な治療をしていたか、見てとれます。 そんなアホなことをされるくらいなら、当院で診た方がマシでしょうから、しばらくは当院で治療していこうと考えています。 それにしても「TARC」は、医師のいい加減さを判断できる数値としても使えそうです。 |
<<前の記事 | 一覧 | 次の記事>> |