小児科 すこやかアレルギークリニック

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違う、違う
2018/12/07
昨日、食物アレルギーに関する医学雑誌をパラパラめくっていて、「違う、違う」と思ったことがあります。

だいたい食物負荷試験について書いてある箇所には、プロバビリティカーブが載っています。特異的IgE抗体が上がるにつれて、誘発される症状の可能性が上がるというものです。

ある学会でご活躍の先生がこの項を書いているのですが、こんなことが書かれてあります。卵、乳、小麦、ピーナッツにはプロバビリティカーブがあり、6〜12か月毎に採血をして値の推移をみて、負荷試験を検討する、のだそうです。

多くの人が、専門医も含めて何も疑問に感じないと思います。専門医たる者、それではダメだと思うんですよね。

実は、当院には他県の親御さんからも食物アレルギーの相談を受けています。メールでそれについて回答して、役立てていただいています。ほとんどの方がおっしゃるのは、「もっと早く知りたかった」ということです。

申し訳ないですが、まともな医療を受けていないから、心配になって相談をされてくるのだと思います。要は、ずっと除去してきて、そのやり方で大丈夫なのか?と不安に感じてしまうのでしょう。そして、私から「少しでも早くから、少量を食べさせることが必要」だと言われてしまうのです。

ガイドラインにも、プロバビリティカーブは載っています。つまり、今回の雑誌に書いていることは、ガイドラインに沿ったものということになります。

ということは、超有名な専門病院に通院中の患者さんの多くに言えることかもしれません。敢えて言えば、「数字だけで判断するのは、もう止めにしませんか?」と言うことです。

昨日も「あさイチ」という番組を見て、学会のやっていることは進歩がゆっくりなんだと書きました。上層部がずっと除去という方針をとってきたので、「食べない」→「何も起こらない」という考え方が支配的だったのです。

今は、アナフィラキシーを過去に起こしていようが、少量から摂取していくことが推奨されています。これはクラス5や6であってもです。

そもそも卵や乳、小麦、ピーナッツがクラスの患者さんって、少しでも摂れば、アナフィラキシーショックを起こしてしまうのでしょうか?。1gは無理なら、0.1g、それでダメならそれ以下というように減らせば、何かしらの量は食べられるはずです。

例えば、0.1g摂り続けることは、意味のないことでしょうか?。私はまったくそうは思いません。ですから、雑誌に半年から1年毎に採血をして、数値が下がれば負荷試験を考えるのではなく、最初に患者さんに遭遇した時が、一番旬な時だと考えています。少しでも若くて治りやすい時期だということです。

専門病院で負荷試験4、5か月待ちなんて聞きますが、その4、5か月も惜しいくらいです。私の感覚では、特に0歳や1歳の患者さんは、4、5か月も待つのは遅いくらいだと考えています。だから、当院では、負荷試験はお待たせしません。早いと翌日とか、翌週とかに負荷試験をやり、一日も早く食べられる量を設定し、食べ続けていただいているのです。

「違う、違う」と言った理由をご理解いただけたでしょうか?。

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