小児科 すこやかアレルギークリニック

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ドクターヘリのケース
2019/04/01
ここ数ヶ月、ずっと論文がらみで余裕がない状態が続いていました。

春休みだし、子ども達にもサービスしなきゃとレゴランドに行ってきました。1日750キロの運転はかなり大変でした(汗)。

先回、負荷試験にはいろいろな形があることを書きました。18になって親元を離れる際に、どれくらい食べられるかどうかというか、微量でアナフィラキシーを起こすかどうかを知っておくことは重要です。

食物負荷試験は、多くのケースで医者がやりたがらないし、患者さんに知ってもらったら困るので、隠蔽さえしていることが多いのが現状です。

仮に負荷試験をやっていている専門医であっても、数字だけ見て「負荷試験どころじゃない」と負荷試験を拒んだり、この前も書きましたが、9歳以上ではお金にならないため、「9歳以上はできない」などと言っている専門医もいるほどです。本当に患者さんのことを考えて、負荷試験をやる、やらないを決めている医師はどれくらいいるのだろうと思っています。

最近、思うのは、食物アレルギーは「食べて治る」ということです。日本の第一人者も含めて、すぐ「除去」と言っています。この方針は根本的に見直さないといけないと思っています。

先日、中学生にやはりソバの負荷試験を行いました。この患者さんは、ソバを普段から食べていたものの、学校のそば打ち体験の行事に参加して、ソバを食べて、友人と騒いでいたら、アナフィラキシーを起こしてしまいました。

学校側も慌てて救急車を呼びましたが、小高い山の上だったため、救急車で行ったら間に合わないため、なんとドクターヘリが飛びました。小児科医が乗って、エピペンを打ち、その後病院に連れ帰って集中治療を行なったケースです。

多くの専門医も「一生食べられない」と決めつけるケースではないでしょうか?。10代の本人は、痛い目に遭っているため、食べたがらないことが多いのですが、負荷試験の話をしたら、親御さんも含めて、乗り気でした。ソバの値がクラス0でした。確か以前もそうでした。

このケースは、運動で誘発された食物依存性運動誘発アナフィラキシーだと考えており、少しは食べられるだろうと予想していました。でも、ドクターヘリに乗った人の負荷試験は、慎重にやるべきです。

それこそ1センチから食べさせて、17g食べたところで、その日は終了としました。「もっと、もっと」と欲を出し、多く食べさせるからアナフィラキシーを起こすのです。あまり攻め込んだ負荷試験は、かえって危険ですらあります。

ということで、それくらいは食べても何も起きないことが分かりました。あとは本人とも確認した上で、方針を決めていこうと思っています。

たとえドクターヘリに乗ったケースであっても、本人が希望すれば負荷試験は考えるべきなんじゃないかと考えています。

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