先日、ある大学生が当院を初診されました。 小麦アレルギーがあり、もう3年も完全除去を続けており、相談できる医師がなかなかおらず、当院を県外から受診してくださったのです。 経過はこうです。数年前に小麦で食物依存性運動誘発アナフィラキシーを起こしていました。皮膚科にかかって、小麦がアレルギー採血陽性であることは分かっていましたが、さらに小麦を食べて入浴した際、アレルギー反応が起きてしまい、小麦を摂るのが怖くなってしまったのだそうです。 小麦は日常我々が口にするものの中に、当たり前のように入っています。それを必死に除去するご苦労を皆さん、想像できますか?。 本来であれば、食物依存性運動誘発アナフィラキシーですから、小麦を食べても運動しなければ、もしくは小麦を食べずに運動すれば、何も起きないはずです。ただ、恐怖心があれば、負荷試験を行い、食べられることを証明してあげなければなりません。 世の中には、大人に負荷試験をやってくれる医師、皮膚科医か内科医になるのでしょうが、そんな医師はほとんどいません。 実際、かかっていた皮膚科に小麦を完全除去していることを伝えると、「それで症状が起きていなければ、いいじゃないか」というようなことを言われたのだそうです。先ほど言ったように、小麦を除去することがいかに困難かも想像できないような、ハッキリ言って愚かな皮膚科医だったようです。 小児科医で、子どもに負荷試験をやっている医師は探せばいますが、成人となると受け皿がほぼ皆無です。国は各都道府県にアレルギー拠点病院を作ろうとしていますが、ない袖は振れぬではないでしょうか?。 つまり、もともと大人の負荷試験をしているドクターがほとんどいない訳ですから、拠点病院にも十分な経験を持った、大人の食物アレルギーに対応できる医師は期待できないのではないかということです。 皮膚科医や内科医は、大人を相手にしますので、冷たいことが多いですよね?。大人となると、自己判断や自己責任ということになりますので、今回のような相談を受けても、心が痛まないようです。 申し訳ないですが、日本の食物アレルギー事情を知っている者としては、今後も期待できないというのが私の考えです。 |
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