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日進月歩
2019/05/15
5月5日、12日と2週に渡ってNHKで遺伝子に関する番組がありました。

遺伝子の2%だけが有効で、残りの98%は、つい最近まで「意味がないもの」=ゴミ扱いされてきたそうです。

小児科をやっていると、お子さんがお父さんかお母さんにそっくりだったりして、遺伝の影響がとても大きいことを実感しています。親御さんがアレルギーがあると、お子さんもアレルギーを発症するというのもよく見る光景です。

ただ、今回の番組で知りましたが、両親から遺伝子を半分ずつ受け取る訳ですが、ごく一部は突然変異が起こるようになっているのだそうです。ゲストの俳優さんが質問していました。「両親が音楽の成績が悪かったので、自分自身も音楽の才能はないと思っていたが、必ずしもそうではないということですね」と。司会者の方が、「その通りです」と答えていました。

何か遺伝子で全てが決まっているように感じますが、先天的なもの以外で、後天的にもかなり才能というか、個人のポテンシャルは変わるようです。各個人が、すごい才能を持っているのに、気づいていないだけなんてこともありそうです。

遺伝子の世界は、激戦区で世界の研究者がしのぎを削っています。医学は日進月歩だと感じています。

私の力を入れているアレルギーはどうでしょうか?。2年前に学会から鶏卵アレルギー発症予防に関する提言がなされました。生後4、5ヶ月のアトピー性皮膚炎の赤ちゃんの皮膚をしっかりと治療した上で、生後6ヶ月から少量の卵を食べさせると、8割卵アレルギーの発症を予防できたというものです。

除去しかなかった食物アレルギーの対応が、湿疹の治療と小さいうちから積極的に食べさせるという逆転の発想で、予防を行うことができることが分かり、まさに日進月歩を感じたのですが、その後がいけないように思います。

多くの専門施設が食物アレルギーの患者さんにかかりっきりで、予防まで手が回っていないという現状です。実は先の研究では生後4、5ヶ月のアトピー性皮膚炎の赤ちゃんが対象でしたが、すでにその時点で8割が卵に感作されていたそうです。

卵アレルギーに多くが傾いている訳です。であれば、もっと早くから対応が必要になります。その辺の研究がほとんど進んでいないように思います。多分、生後1、2ヶ月のアトピー性皮膚炎の赤ちゃんを治療し、生後6ヶ月から卵を食べさせるとどうなるかという結果を持ち合わせているのは、当院くらいだと思われます。

食物アレルギーが予防できれば、田舎の開業医でもそれを実践してくれれば、多くの患者さんが救われます。そういうことが分かっていて、多くの医師が取り組んでいないのは、どういうことなんでしょうか?。

日進月歩の遺伝子の世界の番組を見たあと、アレルギーを考えると、虚しい気がします。

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