小児科 すこやかアレルギークリニック

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痛いことはしない
2019/05/29
先日、新潟市から患者さんが受診されました。

卵アレルギーの相談でした。かかりつけの小児科医からは完全除去と言い渡されていましたが、きっといろいろと調べられたのでしょう。少し食べさせた方がいいようだ、ということで、おっかなびっくり卵ボーロを自宅で少しずつ与えていました。

こういう状況に遭遇すると、多くの医者は卵を食べさせる、食べさせないの是非を問題にすると思います。その前にやることがあるはずなのですが...。

それは何かと言うと、アトピー性皮膚炎の有無を確認することです。アレルギー採血が陽性になるのは、アトピーの湿疹から経皮感作を起こしたものでしょう。ですから、卵の負荷試験をする一方で、更なる経皮感作を防ぐ必要があると思います。

この患者さんは、2歳になっていました。皮膚も局所的に苔癬化しており、アトピーの治療は大丈夫か?と思いました。

よくあることで、皮膚は皮膚科、食物アレルギーの相談は小児科開業医に行っていました。先ほども言ったように、負荷試験と皮膚治療を一緒にできる医師が対応するのが望ましいのですが、新潟市では無理でしょうね。

いろいろ話を聞いてみました。皮膚科医は「痛いことはしない」をモットーに診療しているようです。そう聞けば、「優しい先生だ」と思うのでしょうが、果たして本当でしょうか?。

前の小児科の検査が足りず、アレルギー採血をさせていただきました。経皮感作を受けたのは、卵だけのようです。アトピー性皮膚炎の状態を知る「TARC」も調べてみました。

TARCは正常値よりも高く、皮膚治療が中途半端であることが分かりました。それこそ多くの皮膚科医、小児科医がこういったケースで採血(痛いこと!?)はしませんが、アトピー性皮膚炎を本気で治す気があるなら、こてんぱんにやっつける必要があり、中途半端な軟膏塗布は良くないと思います。

こちらで皮膚治療も食物アレルギーも診ることになりました。既に卵クッキーの負荷試験を終えていて、あれもこれも食べられるという指導を行なっています。

そうそう、アトピー性皮膚炎があると、水イボを合併しやすいです。この患者さんも水イボがあり、皮膚科医に相談しましたが、やはり「痛いことがしない」と言われ、放置するように言われたそうです。

親御さんは信じるしかなく、一旦広がり心配しましたが、だいぶ経って消えていったそうです。水イボはかなりこだわって診ていますが、私の結論は“少ないうちに取る”ことです。取りそびれて、かなり広がってしまった患者さんを多く診ています。

今回、医師から「痛いことはしない」と言われていた訳ですが、私はそうは思いません。小さい子だからこそ、客観的な証拠は必要でしょうし、積極的にアトピー性皮膚炎に挑んで、治す方向に持っていくべきだと思っています。結局、あれもこれも中途半端では、疲弊するのは患者さんの方です。

多くの医者が「痛いことはしない」と言って、積極的な医療から目を背けているように思います。これをお読みになって、どう思われるでしょうか?。

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