小児科 すこやかアレルギークリニック

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「絶対」
2019/06/01
先日、体に膨隆疹の出た患者さんが受診されました。

蚊に刺されたようにプクッと膨らんだ、いかにも“じんましん”って感じの皮疹が体のところどころに広がっていました。私はこれを「じんましん」と診断しました。よくある光景だと思います。

親御さんが一枚の紙を持参していることに気づきました。学校医がこの時期に学校検診を行い、何か異常を指摘されたようです。

見ると「伝染性膿痂疹」と書かれています。一般の方には分かりづらいでしょうが、いわゆる「とびひ」のことです。

たった今、じんましんで皮膚を診たところです。「とびひなんて気付かなかった。下着の中などに隠れていたか?」なんて思いもしました。もしくは、学校検診は少し前に行われ、治ってしまったのか?、そうも考えました。

聞けば、学校検診は前日だとおっしゃいます。昨日からじんましんが出ており、それを診て学校医から“とびひ”だと診断されたというのです。

これもつい最近のことですが、咳が良くならないと当院を受診された患者さんがいました。問診票には「キプレス、フルタイド」といったぜんそく治療薬を使っていますと書かれていました。

ぜんそく治療は、ぜんそくが重くなければ「キプレス」などの内服薬を使い、それでも症状が改善しないなら「フルタイド」といった吸入ステロイド薬を加えることが、ぜんそく治療のガイドラインに書かれています。つまり、この患者さんはぜんそくがあって、更に重症でもあることになります。

軽症ぜんそくの治療をしても良くならなければ、大人のぜんそく患者さんも使うような吸入ステロイド薬を併用するというのは、ある意味分かりやすいのではと思っています。

前医での治療内容を把握したところで、問診してみると、耳を疑いました。主治医から「ぜんそくではない」と言われていたとのこと。

ぜんそくの定義がゼーゼー、ヒューヒューを繰り返すものとされており、ゼーゼーを繰り返しているのだそうです。正真正銘の「ぜんそく」ということになります。

主治医からは「ぜんそくではない。ぜんそくにならないように予防的治療をしている」と言われたのだそうです。

もう一度、整理しましょう。ゼーゼーを繰り返すのがぜんそくです。ぜんそくと診断された上で、軽いと思えば「キプレス」などの内服薬を使い、決して軽くないと思われれば「フルタイド」などの大人の治療を加えることが推奨されています。

当院は、ぜんそくにもこだわっていますが、ぜんそくを予防する方法は現時点ではないだろうと思います。もうお分かりでしょう。ぜんそくのことをよく知らない医者が、テキトーに対応していることが...。ちなみに、この医院さんの看板には「アレルギー科」と掲げられています。

前医には悪いのですが、ぜんそくの診断や治療について、ガイドラインに沿った内容を説明しました。母からは「信じていたのに...」と悔しそうな言葉が聞かれました。

とびひの話も、ぜんそくの話も、つい先日上越市内で起こった事例です。医者がのびのびと、勝手気ままに“診療”していることがお分かりいただけると思います。

そりゃ私だって、誤診することもあろうかと思います。ただ、今回のように低レベルなところでミスはしていないつもりです。とびひやぜんそくがどういう病気であるか、どういう風に治療すべきかは、知っています。

患者さんはよく言います。「お医者さんの言うことは絶対だ」と。医学に素人の患者さんが、お金を払って専門的医療を“買っている”のが、保険診療だと思います。

その「絶対」が、この程度のことだということは、頻繁に目の当たりにしています。もっと医師のやることに疑問を感じないと、自分のお子さんを守れないことに気づいていただきたいと思います。

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