小児科 すこやかアレルギークリニック

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2019/06/06
昨日、早期発見・早期治療について書きました。

アレルギーマーチは、日本人が発見した非常に重要なアイテムです。0歳で「アトピー性皮膚炎」、「食物アレルギー」を発症し、1歳頃にゼコゼコを繰り返し、「ぜんそく」が出てきて、のちに「アレルギー性鼻炎」を発症してきます。このアレルギーマーチは、アレルギーの早期発見には欠かせません。

当院は、12年前に開院しました。当時はぜんそくと食物アレルギーに力を入れており、ぜんそくはガイドラインに沿った治療を行い、食物アレルギーは負荷試験を行い、不要な除去は減らそうと考えていました。

残りのアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎は、正直、ぜんそくと食物アレルギーほどは力を入れていませんでした。12年前の話です。

ところが、いつも書いているように、アトピー性皮膚炎の湿疹から食べ物が入り、経皮感作を起こすことが分かってきました。しかも、アトピー性皮膚炎を治療することで、食物アレルギーにも大きな影響が出るようです。

多分、アレルギー専門医の中で、一番差が出るのがアトピー性皮膚炎の診断、治療だと思います。ステロイド軟膏をたっぷり塗り続け、皮膚の炎症をこてんぱんにやっつけるのが「プロアクティブ療法」ですが、世の中の99%の医師は、湿疹が出たらステロイドを塗り、良くなったら塗布を止めて、湿疹が出たらまた塗るという「リアクティブ療法」を行なっています。この方法では経皮感作はなかなか抑えられないと思っています。

専門医であっても、リアクティブ療法派がとても多いと思います。多くの医師がステロイド軟膏をたっぷり塗ることに“免疫”ができていないのです。小児科にかかっていて、食物アレルギーを診てもらっていて、皮膚の治療が困難だと「皮膚科へ行け」と言われることがあります。

確かに、小児科医より皮膚科医の方がステロイド軟膏を使い慣れてはいますが、アトピー性皮膚炎をしっかりと改善させられるだけのプロアクティブ療法を行なっている皮膚科医は周囲を見てもほとんどいない印象です。

急にアトピー性皮膚炎の治療が重視されてきて、多くの専門医を含む医師が、対応できていないようです。学会にも問題があります。「2ヶ月以上治らない慢性の経過」が診断に重要ですが、それを一番に重んじている医師が多く、経皮感作を減らせないのです。

私も時代の流れに順応しようと、少し前からアトピー性皮膚炎に力を入れています。そして、早期に治療に取り組めば、アトピーは意外と治るかもという印象を持ち始めました。

「アトピー性皮膚炎を制する者はアレルギーを制す」と言えるんだろうと思います。結局、皮膚科医はぜんそく、食物アレルギーは対応できないため、これらをしっかりと診ることのできる小児科医が、これからの「カギ」になるのだろうと思います。

アレルギー性鼻炎についても、舌下免疫療法という根本的な治療法の選択ができるようになりました。ぜんそく、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎とどれに偏ることなく、オールラウンドに、深く診ることが重要なのではないでしょうか?。

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