小児科 すこやかアレルギークリニック

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2019/06/07
長年、食物アレルギーにどっぷり浸かった生活をしています。

食物アレルギーの治療といえば、長らく「除去」が基本でした。そんな中、恩師の教えもあり、卵や乳の加工品を食べさせる方針で食物アレルギーに立ち向かってきました。

専門医も含めて、多くの医師が「除去、除去」と言っていましたので、私に見える“景色”というものがあるように思います。

アレルギー採血をして卵や乳の抗体が高ければ「除去」、卵や乳を含むものを食べて症状を起こせば「除去」と医師達は患者さんに指導してきました。

抗体が高くても食べられることがある、今では多くの人がご存知のことだと思います。抗体価がクラス6でも食べられることがあるし、クラス2という結果でもアナフィラキシーを起こすこともあります。

「だから負荷か試験をして、無駄な除去をしないようにしましょう」と学会は言っています。それで負荷試験をやることになるのですが、アナフィラキシーを起こしてしまうケースもあるようです。

アナフィラキシーを起こすためには、その患者さんにとってアナフィラキシーを起こすだけの卵や乳を摂ってしまう必要があります。負荷試験をやる医師のやり方に問題はないか?と思っています。

負荷試験は、専門病院でやると、プロトコールに沿って実施していますので、食べさせる量が決まっています。設定量が多ければ、アナフィラキシーに至ってしまいます。これは、患者さんが悪い訳ではなく、医師側のやり方の問題なのだろうと思っています。

当院の経験では、卵クッキーなどを使うと、アナフィラキシーを起こすことはほとんどありません。食べることに意味があるのに、学会はどれくらい卵が含有しているかよく分からないので、そのやり方はダメだと言います。

今では、含有量が分かる資料もあるのですが、メーカーが不定期に設定を変更することもあるのだそうです。経験上、言わせていただくと、そんな差は大したことがないと思っています。

卵アレルギーなら、どれだけ食べたが分かるように、卵焼きを負荷試験の材料に使うよう言っています。これって、研究に着目した見方なのだろうと考えています。

そのものよりは、加工品の方がアレルギー症状を起こしにくく、私は細かい含有量よりは、“卵”を食べる事実を重んじています。自信を持って、少しずつ食べることが重要だと考えています。そして、食べ慣れることで、食べられる量が増えていくことが多いと思っています。

確かに食物アレルギーは分かっていないことも多く、研究的視点は必要でしょう。ただ、私からすれば、研究なんてどうでもよく、とにかく少しでも食べられる方が大事だと思っています。

それで、実際、除去することなく、少しずつ食べることが重要だと言われるようになってきました。

私のやってきたことが間違いではなかったことが証明されてきたようで、それはうれしく思っています。

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