小児科 すこやかアレルギークリニック

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いつになるやら
2019/06/20
食物アレルギーの歴史について考えたいと思います。

私が医者になる前は、湿疹は食べ物のせいだと考えられており、可能性があればどれも除去というスタイルでした。

卵にアレルギーがあれば、卵は加工品も含め全般に除去。親である鶏肉も除去。何と「卵」つながりで魚卵も除去、ミルクアレルギーがあれば、乳製品全般はもちろん、牛肉も除去という感じです。

湿疹とは、アトピー性皮膚炎のことでしょうが、湿疹が良くならなければ、まず卵、乳、大豆を除去し、それでも改善が見られなければ、小麦、米も除去してみるという、信じられないような時代があったそうです。まさに暗黒の時代。栄養失調の赤ちゃんがかなり出たらしいです。

2005年、食物アレルギー診療ガイドラインが出ました。負荷試験を行い、必要最小限の除去になるようにしましょうという方針が打ち出されました。今は2019年ですから、ガイドラインが出て、14年が経っています。

しかし、いまだにアレルギー採血の結果を見て、陽性ならば除去と言う医師が少なくありません。医学は日進月歩ですが、時代に流れについていけない医師が多いとも言えますが、ある意味、医師の行うべき対応が180度変わったので、従来の除去という方針を引きずっているということなのでしょう。

日本の第一人者が、以前の対応は誤りもあったけれど、除去を最小限にしていこうと言っても、「はいそうですか」と右向け〜、右とはならない訳です。特に、食物アレルギーは命に関わることもあるため、除去と言い慣れた医師が「除去」と言い続けた方が何も起きず、責任問題にはならないと考えている節もありそうです。

ガイドラインでは、どういう訳か、負荷試験は1歳を過ぎてからとされてきました。私は納得いきませんでしたが、0歳は強い症状が起きたら大変だということでしょうか?。

つい数年前に、負荷試験は1歳からという文言が取れましたが、学会はおおっぴらにはしていないようです。除去の話のように、医師の間には、いまだに0歳には負荷試験をしてはいけないという雰囲気がプンプンしています。

この分野で、私が負荷試験を自ら始めたのが、恩師のお陰もあって、2002年でした。卵や乳は加工品であっても、とにかく摂らせると教えられました。ようやく時代が追いついてきた訳ですが、私の中では、当たり前のことをやっているだけなのです。

ガイドラインで0歳への負荷試験にゴーサインが出た途端、一気に0歳でも食べさせる方針としました。そして、今では、食べさせるのは、2歳よりも1歳、1歳よりも0歳というように、若ければ若い方が治りがいいと感じています。

「0歳への負荷試験はちょっと...」なんて言う専門医もいる中、「0歳からでなければ」と考えています。私はガイドラインにそう書いて欲しいくらいに思っています。

ただ、その受け皿であるはずの食物アレルギーを診る医師たちが「0歳から負荷試験が必要である」と認知するには、どれだけの年月が必要なんだろうか?と思っています。これまでの流れから10年は無理だろうと考えざるを得ません。

昨日、県外から受診したいという親御さんの話をしました。最終的に、その判断は正しかったと思う日が来ると思っています。

いま0歳であれもこれも除去しているという親御さん達には、そうしているのは逆ですよとお伝えしたいと思っています。

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