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よだれかぶれ
2019/06/29
“よだれかぶれ”という言葉があります。

親御さんが、口の周りの湿疹で赤ちゃんを連れて小児科や皮膚科を訪れると、そう診断されることもあると思います。

口の周りに湿疹があり、赤ちゃんはよだれが多いため、医者から自信満々に「よだれかぶれですよ」なんて言われると、「よだれかぶれなんだ〜」、「アトピーじゃなくてよかった〜」なんて思うのかもしれません。

私は“よだれかぶれ”という言葉は紛らわしいし、不必要だと考えています。

例えば、生後間もなく口の周りに湿疹が出たとします。それでよだれかぶれと診断されると、違和感を覚えませんか?。小さいと、よだれの分泌はそこまで多くないからです。

あと、こう言えば伝わると思うのですが、よだれを垂らしまくりの赤ちゃんは多いですが、口の周りの皮膚はキレイじゃないですか?。もし、よだれでかぶれるのでしたら、よだれを垂らしまくる月齢の赤ちゃんは口の周りの湿疹がひどいはずですよね?。

医師の世界は、医者がそうだと言えば、そうなってしまうところが恐ろしいところです。つまり誤診されても、誰も修正してはくれません。口の周りの湿疹を“よだれかぶれ”と教わると、そういう診断を繰り返すことになります。

これは、実はベースにアトピー性皮膚炎があることが多いと思います。赤ちゃんは、顔にアトピーの湿疹が出やすいですが、よだれによって相当に足を引っ張られます。

要は、よだれの刺激で湿疹が悪化したり、ステロイド軟膏を塗って治療しても、よだれで汚れる度に口の周りをおしぼりなどでぬぐいますよね。親御さんが知らないうちに治療の邪魔をしてしまっていることにならないでしょうか?。

主婦に多い手湿疹という病気がありますが、水仕事が多く、塗った軟膏の定着が悪いため、なかなか良くなりません。それと同じように考えるべきだと思っています。

ステロイド軟膏が処方されると、たいてい医師は2回軟膏を塗るように指導します。結局、よだれの多い赤ちゃんの口の周囲は、おしぼりで拭くことも多いので、2回塗れていない訳です。

ステロイド軟膏で治療する場合、ステロイド軟膏の強さと塗る回数に比例して湿疹は改善するという印象を持っています。要するに、口の周りの湿疹の治りが悪ければ、2回以上塗ればいい訳です。よだれをぬぐうことも含めて、差し引き2回塗っているようにすれば、皮膚症状は改善することでしょう。

よだれかぶれなんて診断されていても、実はアトピー性皮膚炎で、このように対応すればたちまちに改善することが多いのです。

口の周りの湿疹の改善が良くない赤ちゃんは多いと思います。私もどうすれば良くできるかを悩みつつ、作戦を練って練って、この治療に行き着いています。

“よだれかぶれ”なんて言い続け、「仕方ない」、「すぐには良くならない」なんて言っている医者の元に通い続ける意味はあるのだろうかと思っていますし、親御さんは諦める必要がないと伝えたいと思っています。

口の周りの湿疹は、食物アレルギーの経皮感作を起こすのではないかとも捉えられており、1日でも早くキレイにする必要があるのです。

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