小児科 すこやかアレルギークリニック

クリニックからのお知らせ

病院からのお知らせ

小麦2
2019/07/03
先日、生後7ヶ月の赤ちゃんが受診されました。

他院に通っても湿疹が良くならないというのが受診理由でした。こういう湿疹がダラダラ続いている患者さんは、食物アレルギーのリスクが高まります。

離乳食を食べる月齢であり、アレルギー採血をさせていただきました。すると、卵白、ミルク、大豆、小麦がいずれも陽性でした。この4つの食材のどれを食べても、アレルギー症状を起こす可能性があるということです。

これは、負荷試験をするしかありません。負荷試験はシロクロつける検査ですが、この月齢で卵焼き1個を食べる必要があるでしょうか?。うどんを100gを食べられるでしょうか?。

ですから、離乳食として少量が食べられるかどうかの負荷試験をやる必要があるのです。下手をしたらアナフィラキシーを起こし得ます。細心の注意が必要でしょう。

小麦はクラス2。うどんを用いて負荷試験を行いました。過去の負荷試験に照らし合わせて、各患者さんで負荷量を決めています。今回は、2センチから始めました。

口の周りにほんのちょっと発赤が出ました。じきに消えたのですが、要注意だと感じました。次に3センチ与えてみました。

体にポツポツと小さな発赤が出たため、中止としました。ここで何が言いたいかというと、湿疹を“乳児湿疹”などと診断し、過小診断、過小治療を繰り返している小児科医、皮膚科医はかなり多いのですが、彼ら彼女らは食物アレルギーの予想すらしていません。

6ヶ月を過ぎ、そろそろ小麦を与えてみようかと、自宅でうどんを少し食べさせるなんて状況はあり得ると思います。今回の患者さんは、そうだったと思われます。

もっと多くの小児科医、皮膚科医が湿疹を見たら「アトピー性皮膚炎かも」とか「食物アレルギーに気をつけなきゃ」とか考えて欲しいのです。いまは、全くといっていいほど、そういう土壌はないように感じています。

「小麦はクラス2で大したことがないから、自宅で少しずつ食べさせてみなさい」とか言う医師もいることでしょう。アバウトな言い方だし、今回のようなこともあるので、誰の責任でしょうか?。

今回、もっと量を与えていたら、アナフィラキシーを起こしていた可能性も十分考えられるのです。私なら、負荷試験をして医院でどれくらい食べられそうか、設定してあげています。

世の中、小麦の数値が出ていても、知らずに小麦を食べさせている親御さんはかなりの数にのぼると思われ、「家で少しずつ与えなさい」などとやや無責任なことを医師から言われる親御さんもいらっしゃるでしょうし、適切に対処されている赤ちゃんはどれくらいの割合なのでしょうか?。

その辺のリーダーシップを取るのは、学会しかいないんだろうなと思っています。

ちなみに、学会は「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」を出しており、卵は早期摂取の必要性を述べていますが、ミルクと小麦は具体的には示していないと思います。患者さんは、分からないから医師のもとに相談に行くのであって、早急な対応が待たれます。

<<前の記事 一覧 次の記事>>