小児科 すこやかアレルギークリニック

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ある日突然
2019/07/04
以前からそうですが、咳が止まらずに当院を受診される患者さんは結構いらっしゃいます。

アトピー性皮膚炎や食物アレルギーで受診される方が多いですが、他院で治療しても咳が長引き、困り果てて受診されることも少なくないのです。

前医からは、だいたい“風邪”と診断されています。風邪ならじきに治ってしまうはずだし、しかも医者から風邪薬をもらっているので、なおさら治るはずです。

こういう咳は、小児科医、耳鼻科医、内科医が診ていると思いますが、だいたい“風邪”と言われ、そう扱われています。それでも治りが悪く長引けば、「風邪じゃないんじゃないか」と医師が考えなければならないのに、なかなか疑ってはくれないようです。

ぜんそくの診断は、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、「ゼーゼー、ヒューヒューを繰り返す」病気です。痰が絡みの咳をして、夜から朝に目立ちます。泣いたり、騒いだりした後にも咳き込んだりします。

最近、ぜんそくの重症患者さんは減っていると言われています。その分、軽症が増えているようです。となると、典型的な症状をきたす患者さんが減っている可能性があります。

もしかしたら、軽症はゼーゼー、ヒューヒュー言いづらくなっており、発見が遅れてしまっているのではないか?と考えています。

ぜんそくを発症するお子さんをみていると、痰がらみの咳を繰り返し、徐々に軽くゼーゼー、ヒュヒューするようになります。それが夜から朝に見られることが多いため、医師のもとを受診する日中には落ち着いていることが多いようです。

昼間に聴診してもゼーゼーしてないのは、ある意味当たり前なので、「夜に咳き込んで大変だった」とぜんそくを疑うエピソードがあっても、「風邪でしょうね」などと診断されていることが多いようなのです。

そうやって、徐々にぜんそくが悪化して、ゼーゼー、ヒューヒューが日中でも聞かれるようになると、医師はある日突然「ぜんそくかもしれない」と言い始めます。

私から言わせれば、ぜんそくを疑うヒントはさんざん繰り返されているにも関わらずです。結構こじれた患者さんは、オノンやシングレアといった効果的な内服薬では効かずに、吸入ステロイド薬を使った強力な治療が必要になります。

「うちの子は咳が長引く子で、その都度医師を受診し、風邪と言われていた。同じ症状でかかったのに、ある日突然ぜんそくと診断され...」なんて親御さんからよく聞くフレーズです。

やはりぜんそくに関しても、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーのように早期発見・早期治療を心掛けるべきだと思います。

最大の敵は、十分にぜんそくが隠れていると疑える状況でも“風邪”と診断されてしまうことのように感じています。

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