小児科 すこやかアレルギークリニック

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使わない手はない
2019/07/12
小児アレルギー学のレジェンドといえば、馬場実先生でしょう。

「アレルギーマーチ」を報告した先生です。アレルギーマーチというのは、アレルギー疾患の発症のルールというべきもので、0歳でアトピー性皮膚炎を発症し、食物アレルギーも合併し、徐々に痰がらみの咳を繰り返すようになり、ぜんそくを発症し、のちにアレルギー性鼻炎も見られるようになる、というものです。

本当にこの順番で発症してくることが多くなっています。近年、アレルギーマーチが再評価されているのは、茶のしずく石鹸騒動が影響しています。つまり、皮膚から食べ物が入って、「経皮感作」を起こし、食物アレルギーを引き起こすことが証明されたからです。

食物アレルギーを起こす患者さんは、その前にアトピー性皮膚炎を発症していることが多いことも報告されており、アレルギーマーチの発症順は必然なのだろうと思っています。

親御さんがアレルギーを持っていると、お子さんに遺伝子やすいことはご存知でしょう。ぜんそくがあるとアレルギー性鼻炎を合併しやすいとか、アトピー性皮膚炎があるとぜんそくも見られやすいとか、アレルギーは体質のある人に集まりやすいようです。

アトピー性皮膚炎があると、卵の経費感作が8割の子に見られたなんて報告もあり、これだけ高率に出てくる可能性があります。

ここで私がチカラを入れていることは、アトピー性皮膚炎を早く見つけられないか?ということです。アトピーがあれば、その後に発症してくるであろう食物アレルギー、ぜんそく、アレルギー性鼻炎を早期に見つけることができると考えています。

実際、アトピー性皮膚炎を早期に見つけ、治療すると、8割も上がるはずの卵の感作を減らすことができるようです。また、アトピーや食物アレルギーがある赤ちゃんの経過を見ていると、痰がらみの咳が出るようになり、繰り返す傾向にあれば、ぜんそくが出てくると予想できます。

こう考えると、馬場先生は偉大だと改めて思います。アレルギーマーチの概念を診療に使わない手はないのです。

日本の医療の悪いところなのでしょうが、医療においても「木を見て森を見ず」というのがありそうです。自分の専門分野だけ診るということです。

赤ちゃんに湿疹が出ると皮膚科に行き、食物アレルギーがあると小児科に行き、鼻が止まらないと耳鼻科に行く傾向にあります。“森を見る”役割にあるのは、小児科医だと思っています。

ここはやはり小児科医が、「この湿疹はアトピー性皮膚炎かもしれない。となるとアレルギーマーチに沿って食物アレルギーが出る可能性が高いな」とか、「アトピーがひどいので、ぜんそくに気をつけないと」とか、注意を払うことができると思うのです。

よくあるのは、「湿疹で小児科か皮膚科にかかっていて、離乳食で卵を食べてアレルギー症状を起こし、検査をしたら卵アレルギーが見つかりました」と親御さんから言われることが多いのです。最初の湿疹がアトピーだと認識できていれば、卵アレルギーに注意喚起ができていたものと思われます。

また、アトピーと食物アレルギーがあり、その子が咳を繰り返しているにも関わらず、小児科や耳鼻科で風邪と診断され、「何度通っても良くなりません」と当院に駆け込む親御さんは少なくありません。本来は、医師が「ぜんそくかもしれない?」と疑うべきでしょう。

せっかく日本人が見出した「アレルギーマーチ」を多くの医師が活用すれば、もう少し日本の小児アレルギー医療は良くなると思うのですが、いかがでしょうか?。

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