小児科 すこやかアレルギークリニック

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フルで治療
2019/07/19
先日、市外に住むある患者さんが当院を初診されました。

地元の医師からぜんそくと診断され、治療を受けていました。いろいろ治療しているものの、ゼーゼー言いやすいようで、困り果てて当院を受診されたということでした。

前医いわく、「フルで治療している」そうです。これは、目一杯治療しているという意味です。

にも関わらず、症状が抑えられていない訳ですから、医師が専門医に紹介すべきだと思うのですが、「(フルでやっているから)様子を見てくれ」の一点張り。

医者ってそういうところ、ありますよね。自分のチカラでどうしようもなければ、素直に紹介すればいいのに、プライドだか何だか知りませんが、なかなか紹介しようともしない...。

普段、食物アレルギーのついて書いていますが、もちろんぜんそくにもこだわりがあります。確かキプレスという内服の薬の他に、パルミコートという吸入のステロイドが使われていました。

ぜんそくの患者さんを治療する場合、軽症の患者さんはキプレスのような内服薬で治療し、重症になってくると吸入ステロイド薬を用います。

他院から逃げて来られる患者さんは、吸入ステロイドまで使われていないことが多いのですが、今回は連用されています。吸入ステロイドは、ぜんそく治療の重要な戦略なので、始めるとだいたい1、2週間くらいで効果がみられてきます。

この患者さんは、それ以上経っています。何かが足りない訳です。問診を進めていくと、ある重要な情報にたどり着きました。「ゼーゼー言っているときに処方されたステロイドの内服薬が効いた」のだそうです。

「やっぱり、ステロイドが効くんだ」、そう思いました。お薬手帳をよく見ると、パルミコートが1日1回吸入されていました。普通、ゼーゼー言いやすい患者さんには朝と晩に2回吸入し、症状が安定したら1回に減らすのが普通です。前医からは「フルに治療」と言われていましたが、フルではありませんでした。

ということで、パルミコートを朝晩の合計2回吸入していただき、2週間後に再診していただきました。前医の言う「フル」の治療ではなかったため、それでもダメなら、次の手と思っていましたが、まずは2回に増やしてどうなったかを知りたいと思いました。

結果は、とても調子がいいのだそうです。吸入ステロイドが上手に吸えてさえいれば、だいたい1、2週間で効果は分かります。やっぱり吸入ステロイドが足りていなかったようです。

親御さんも喜んでくれていました。「もっと早く受診すればよかった」とも。そりゃ、「フルに治療」と言われて、改善がなければ不安になるはずですよね?。

同じ小児科医とはいえ、患者さんが思った以上に、医師の間に知識や経験の差があるのがアレルギーなんだろうと思います。敢えて言えば、かかりつけを信用し過ぎるのは危険なこともあるのだろうと思っています。

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