小児科 すこやかアレルギークリニック

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メリットはない
2019/07/22
先日、湿疹のかなり悪い赤ちゃんが受診されました。

これは、続報です。親御さんがステロイド軟膏に対し否定的な印象を持っておられ、アトピー性皮膚炎がかなり悪い状況で受診されたのです。

ステロイド軟膏に抵抗感を持つ親御さんは稀にいらっしゃいますが、今回の患者さんは最初からそうではなかったようです。始めは医師に言われて、ステロイド軟膏を塗っていたのですが、良くならずに不安になったそうです。

ある意味、医師がステロイド忌避を作ったと言えるのかもしれません。確かに中途半端な使用をする小児科医、皮膚科医は大勢います。使い時は“出力全開”て使うのがいいとされています。中途半端が一番いけないと思っています。

初診時、アトピー性皮膚炎の状態はかなり悪かったのですが、時間をかけて説明したので、1週間で見違えるほど改善しています。

アトピーの状態が悪いと、食物アレルギーも悪化してしまいます。卵、乳、小麦がどれも高い状態でした。まだ8ヶ月くらいなので、皮膚をキレイにしたら、あとは負荷試験をして積極的に食べさせていきます。

卵白がクラス5でした。先日、卵の負荷試験をやりました。こんな場合、茹でて少し放置してから分離した卵黄で負荷しているのですが、過去の経験では、それでも症状が出てしまうこともあります。

医師としては、何か症状を起こすリスクがあり、「除去しなさい」と言っていた方が楽ですが、いつも言っているように、できるだけ早い時期に少しでも食べていた方が治りやすいという印象を持っているため、ここは譲れません。

ということで、負荷試験を決行しました。そうしたら、無事に食べられることが分かりました。8ヶ月の赤ちゃんに卵黄を食べさせただけですが、その後は順調に食べ進められることが多いので、特に心配はしていません。治っていくものと思います。

もしかしたら、ステロイド忌避のために当院の受診がもう少し遅れていたら、経皮感作も進み、今回の負荷試験も症状が出ていたかもしれません。そう考えると、ギリギリセーフだったのかもしれません。

今回症状が出たとしても、食べせていくつもりでしたが、親御さんが怖がって食べさせないケースもあります。気持ちは分かりますが、これはいいことではありません。

と考えると、親も含め苦手意識を持たせないことが重要であり、とにかく早くから食べさせるしか方法はないのではと考えています。

この患者さんは、卵白がクラス5であり、多くの医師が卵は除去と指導するでしょうが、患者さんにとってメリットはないと思いますよ。

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