|
まずは、データをお示しします(画像)。
この患者さんは生後3ヶ月の時に湿疹のために当院を受診されています。いつものパターンですね。アトピー性皮膚炎があると診断しています。
この患者さんの特徴は、3ヶ月の時点で卵と乳に感作を受けていました。治療中、再検したものが今日の画像です。昨日と同じく右側が古いデータで、昨年4月のものです。
注目していただきたいのが、ミルクがかなり高い値を示していることです。そしてつい最近再検したものが左側になります。ミルクが1年ちょっとの間にクラス4から2に激減しているのが見て取れます。
ミルクアレルギーは、時として治りが悪く、抗体価が高いと強いアレルギー症状を誘発します。こんなに低下した理由を知りたくはありませんか?。
実は、この患者さん、初診時の生後3ヶ月の時点でミルクが確かクラス2でした。生後4ヶ月の時にミルクで負荷試験を行ったのですが、20mlくらい摂ったところで、皮膚が赤くなり中止としています。
少し摂れることが分かったので、5mlくらいは摂るように指導していました。私も重症な牛乳アレルギーの子を診ていますが、早期発見・早期治療で何とかしたいと考えて、取り組んでいます。
そうしたら、ミルクの値がクラス4まで上がってしまいました。判明した時点で、ミルクは5から10ml摂れていたので、動じることなく摂り続けていただいていました。
現在では20mを連日l摂っています。近々乳の負荷試験をやる予定ですが、経験上、かなり摂れるものと思います。
食物アレルギーの抗体価は、摂り始めると上がり、摂取し続けると下がってくると言われます。まさにその経過をリアルタイムで見たということなんでしょう。
ミルクが上がっていると、ミルクを除去したり、アレルギー用ミルクを使う指導がほとんどだと思いますが、やはり早期から摂らせる方針が重要なんだろうと思っています。
当院では、牛乳0.1mlも摂れない患者さんも診ていますが、なかなか増量できません。努力はやめませんが、その一方で重症な牛乳アレルギーを作らないようにするにはどうするかを大きな課題に挙げています。
多分、この患者さんも除去を続けていたら、重症な牛乳アレルギーが作られたかもしれず、ちょっとホッとしています。 |