小児科 すこやかアレルギークリニック

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卵黄
2019/08/10
ご存知のように、子どもの食物アレルギーでは鶏卵が最多となっています。

鶏卵は、卵白と卵黄に分かれますが、そのほとんどが卵白アレルギーだと思われます。卵黄は加熱するとアレルギー症状を起こしにくいと言われています。

1歳前後になるとクッキーは食べられるようになるため、卵クッキーで負荷試験を行っています。超重症を除き、まず症状は起こりませんが、万が一症状が起これば、卵白成分のせいだろうと考えています。

10年くらい前は、卵アレルギーの負荷試験の場合、卵黄の負荷試験は必要ないだろうと考えていました。いま言ったように、卵黄を食べさせても仕方ないと思っていたのです。

最近は、すっかり考えが変わりました。卵黄って大事だなと。

その心は、乳児にとって卵黄は離乳食開始に際し、与えていくものだから。これは昔からやられていることでしょうが、実は日本人のチエだったのかもしれません。

実は、茹で上がった卵から卵黄を取り出す際、白身と黄身は接しています。黄身を取り出したつもりでも、卵黄の表面にわずかな白身が付着しています。黄身を与えているつもりでも、白身も与えている訳です。

わずかな白身を食べているうちに、仮に卵アレルギーがあっても、少しずつ体が慣れていくのだろうと思います。白身を与えようとする頃には、食べられるようになるケースも少なくないのだろうと思います。

なぜそう考えるのかと言うと、ともすると湿疹のある赤ちゃんの8割が卵に感作を受けているとされるからです。その子達は、皆が皆卵アレルギーを発症する訳ではありません。

先日、自宅で卵黄を食べてアレルギー症状を起こした赤ちゃんに対し、黄身で負荷試験を行いました。茹でて少し時間をおいてから分離しましたので、少し卵白成分が多く付着しているはずです。

それで負荷試験をしても、何も起きませんでした。日頃から食べているからでしょう。

10年前は大して意味はないのかなと思っていましたが、そうではなかったんですね。反省です。

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