小児科 すこやかアレルギークリニック

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逆に利用されている?
2019/09/02

先回、プロバビリティカーブについて書きました。

卵のプロバビリティカーブは、アレルギー採血の結果に基づき、卵料理が食べられるかどうかを判断する目安になっています。抗体価が高ければ、高いほど、アレルギー症状が誘発されやすい確率が高まります。

多くの医師が活用するアイテムになっています。本来なら、抗体価が低下してくれば、食べられる確率が上がるため、「負荷試験」とやる医師が活用すべきものだと考えています。

しかし、現実は、負荷試験をやっていない非専門医が、「負荷試験どころじゃない」と言って、専門医に紹介しないための目安に使われている気がしてなりません。

これはよく言われていることですが、実際に卵アレルギーのある患者さんを集団とした集計です。例えば、卵の抗体価が高いけれど、卵と食べたことのない0歳、1歳の赤ちゃんを対象とすると、実際には卵を食べられる赤ちゃんも結構含まれるため、プロバビリティカーブは違うものになります。

この前も書きましたが、当院では卵の負荷の初期段階として卵クッキーを用いたりします。卵の抗原量が非常に少ないため、クラス5や6の人でも食べられる確率が上がります。ですから、このプロバビリティカーブは参考にならないし、卵クッキーを与えようとする人は、使ってはならないことになると思います。

普段から、少しずつ食べさせていけば、食べられるようになるのではないかと書いています。プロバビリティカーブは、青、赤、緑色の3本描かれています。

0歳児が一番食べられなく、2歳以上になると卵を受け入れる可能性が上がってくることを表しているようです。これを見た人は、除去していて、時間稼ぎをしていれば、“食べられるようになる”という風に捉える医師や患者さんもいらっしゃるのでないでしょうか?。

これって、危険な考え方だと思っています。逆に私はこう捉えています。0歳、1歳、2歳以上の違いって、卵はいろいろなものに含まれていて、除去しにくいですよね?。要は、1歳や2歳以上ともなれば、知らずに少量の卵を口にする機会も少なくない訳です。食べているうちに、少しずつ治っているように見えるのです。

こう考えると、全く逆ですよね?。除去し続けていれば、食べられるようになるというのは、別次元の話になりませんか?。

当院では0歳児に卵黄から与えていますが、問題なく食べらられる赤ちゃんが多いです。徐々に食べさせていればいい訳で、無理に卵料理は食べさせなくてもいいと思っています。

プロバビリティカーブの理解は各医師に任されているのでしょうが、適正な使い方が広まることを希望します。

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