先日、生後1ヶ月の赤ちゃんが当院を初めて受診されました。 「湿疹で受診したんでしょう?」と言われてしまいそうですが、咳でした。「咳」にも湿性と乾性の2種類があります。痰の絡んだものと、絡まないものです。 生後1ヶ月の赤ちゃんは、そもそも風邪なんてあまり引かないと思いますが、湿性の咳でした。ちなみに熱はなく、鼻水も少し出ていました。 兄が鼻風邪を引いており、小児科にかかれば、「お兄ちゃんの風邪をもらったんだね」で済まされてしまうかもしれません。確かにそういうストーリーは考えやすいのですが、私には湿性の咳が気になっていました。 私の頭に浮かんだのは、RSウィルスでした。多くの親御さんが、赤ちゃんは母のへその緒からもらった免疫で風邪を引きにくいことを知っています。だから、生後半年くらいまでは、風邪を引きにくい訳です。 今回は、わずか生後1ヶ月でひどい咳をしています。実は、RSウィルスは、母のへその緒の免疫は効かないので、かかりやすいと言われています。 検査をしてみたら、RSウィルスがしっかりと陽性でした。兄の鼻風邪がきっとRSウィルスだったのでしょう。 RSウィルスは呼吸困難を起こし得る赤ちゃんにとっては怖い感染症です。また、乳児がRSウィルスにかかると、かからなかった赤ちゃんに比べて、向こう10年はゼーゼー言いやすくなると言われています。それだけ長く影響を及ぼし得る、嫌な感染症です。 私は、RSを疑ったらなるべく検査するようにしています。ぜんそくの起点になったかの参考になると考えているから。それと、こちらも大事ですが、呼吸状態が悪くなれば、夜でも緊急受診が必要になり得ることをお伝えしています。 RSウィルスという厄介なウィルスが、夏からずっと地元では流行しているようです。 |
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