小児科 すこやかアレルギークリニック

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安易に◯◯
2019/09/20
先日、専門医に元から当院を受診された赤ちゃんがいました。

まだ0歳なのですが、自宅で小麦(そうめん)を少しずつ摂り始めていました。ある日、パン粥を与えてアナフィラキシーを起こし、救急搬送されました。

その病院は、実家に近い医療機関だったため、自宅近くのアレルギー専門医のいる病院に紹介状が書かれました。専門医の判断は、向こう1年間小麦の除去というものでした。


普通は、専門医にそう言われてしまえば、当院を受診することはないのでしょうが、小麦と、あと未摂取だった卵も検査が陽性であり、卵についてもどう進めたらいいかということで相談に来られました。

私が違う方針を話せば、親御さんは何を、誰を信じていいか混乱してしまうので、時間をかけて説明しました。結構、気を使います(汗)。

毎日お読みの方は、ご存知でしょう。小麦も除去してはならないという指導をしました。

食物アレルギーの対応は、必要最小限の除去が基本になります。この子は、そうめんを食べていました。ある日、パン粥を与え、この子の小麦の限界(いき値)を大きく超えてしまったためにアナフィラキシーを起こしました。

そうめんなら食べられるはずですよね?。そこを多くの医師、専門医ですら誤解しています。別の非専門医の開業医も「死にたくなかったら、小麦を摂るな」みたいなことを言ったようです。非専門医だから仕方ないのかなと思いますが、アレルギー専門医がこれでは困ります。

先週の学会でも、超有名な専門施設で研修したという医師が言っていたのですが、少量も摂れないと完全除去の指導をしているのだそうです。

世の中、安易に除去、除去と言い過ぎです。除去をして治るという明確な根拠があれば、喜んで除去をしますが、食べることは受け入れるように働くのです。

専門医、非専門医、複数の小児科医から小麦は食べないよう指導されていましたが、30分以上時間をかけて説明し、次回小麦の負荷試験をすることにご納得いただけました。

彼らは、私の苦労をまったく知らない訳です。残念ながら、食物アレルギーに真摯に取り組み、どうしたら治るのか?と突き詰めて考えている医師なら、完全除去とは安易に言わないはずです。

これは、完全除去を指導されている親御さんにも知っていただきたいと思っています。

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