先日、市外から食物アレルギーの患者さんが初診されました。 食後にアナフィラキシーを起こし、当院を頼って受診されたのです。実は、前医でアレルギー採血が行われていました。アナフィラキシーとの診断で、抗ヒスタミン薬が処方されていました。 原因食品は、その日に食べたものから採血項目が選ばれていました。モモも原因として疑われていましたが、アレルギー採血はクラス0。これでは、説得力はありません。 結局、患者さんは正しい診断を求めて、当院を受診されました。 ちょっと変わったケースだと思うのですが、入浴後にモモなどを食べて、眠っている最中に痒みや息苦しさで発症しています。確かにアナフィラキシーを起こしているようです。 モモは、強いアレルギー症状を起こし得る果物であり、可能性はあると考えました。モモとは別に、バナナやキウイも食べると、口の中がイガイガする口腔アレルギー症候群の症状も見られています。 ただ、モモもバナナもキウイも検査はクラス0でした。果物アレルギーは、アレルギー採血の感度が悪いため、アレルギーなんだけれど、検査が出ないことは結構あるのです。 そこでどうするかというと、皮膚テストを行います。検査をするといずれも腫れ、モモが最も大きく腫れました。これで、視覚的にも親御さんに大きな説得力になると思います。 プリックテストという皮膚テストは、とても簡単で、果物アレルギーの診断に不可欠ですが、多くの医師にとってハードルが高いらしく、今回、患者さんがアナフィラキシーを起こしていると診断しているにも関わらず、原因を特定することなく、専門医にも相談することもありませんでした。 残念ながら、こんな中途半端な状態は、新潟では“標準的”な対応のように思います。いや、新潟に限らないことでしょう。 お気付きかもしれませんが、アナフィラキシーを起こしているにも関わらず、エピペンが処方されていません。これもおかしな対応と言わざるを得ませんが、これもよくあることです。 学校側は受け入れるかどうかまでは知りませんが、学校側にエピペンの研修会をやらないか提案もすることにしました。いきなりエピペンを処方され、預かってくれと言われても、面食らってしまうことでしょう。 原因を親御さんに納得のいく形で示し、アナフィラキシーを起こしていれば、エピペンを処方し、学校側に研修会を提案する。これができなければ、専門医に紹介する。これが“標準的”な対応になって欲しいものだと考えています。 |
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