小児科 すこやかアレルギークリニック

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卵黄
2019/09/24
10年ほど前、負荷試験で卵黄を用いるのは、大して意味がないと考えていました。

ご存知のように卵アレルギーの患者さんは、ほとんどが卵黄アレルギーではなく、卵白アレルギーだからです。卵黄は加熱してしまえば、アレルギーを起こすチカラを失いますが、卵白はオボムコイドのように加熱しても失活しない成分を含むからです。

当時は、1歳になったら卵クッキーを用いて負荷試験をしていました。卵クッキーにも卵白成分は含むので、卵黄の負荷は不要だと思っていたのです。

それが、成育医療研究センターの研究にもあるように、生後6ヶ月から少量の卵を食べさせることが推奨されるに至りました。学会も0歳での負荷試験を避けていたものが、その縛りがなくなりました。

生後6ヶ月など、0歳から卵を食べさせていく必要性が出てきました。さすがに卵クッキーを食べる月齢ではありませんよね?。

当院は、茹でて少し放置した卵黄で負荷試験を行っています。こうすると、卵黄に少し卵白が絡み付くので、卵黄を用いて負荷しつつも、実は卵白を負荷しているという格好です。

とにかく食べさせたいと願って負荷試験を繰り返している訳ですが、それでも卵白のスコアが高い赤ちゃんは、重くはありませんが、症状を起こす場合があります。そういう赤ちゃんに卵料理を不用意に与えてしまうと、アナフィラキシーショックを起こしてしまうんだろうなと考えています。

そういう患者さんに、茹でてすぐに分離した卵黄で負荷試験をすることがあります。何も起きないことが多いです。

10年前は、「卵黄の負荷試験なんて...」と考えていましたが、今は重症な赤ちゃんには有効な方法ではないかと考えています。

ただ、それでも食べて2、3時間後に嘔吐を繰り返す消化管アレルギーという病態があり、極めて少ない量でも症状が起きてしまうことがあります。そういう病態が明らかになってきており、お気をつけていただきたいと思っています。

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