小児科 すこやかアレルギークリニック

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予防法
2019/09/26
今日が、来年の学会のエントリー締め切りでした。

直前にならないとチカラの出ないたいぷの私は、今日の明け方に申し込みをしました(汗)。

食物アレルギーは、予防法が2つあると言われます。アトピーの湿疹から食べ物が入って、経皮感作を引き起こすので、まず卵の抗体を上げないようにすること。通常の皮膚から感作は受けないため、湿疹をキレイにしてしまおうというものです。

これは結構難しい。当院のデータが示すように、生後3ヶ月から経皮感作は進んでいきます。要は、アトピー性皮膚炎かどうか診断もままならない状況で、卵アレルギーは始まってしまうのです。

もちろん、1ヶ月くらいで典型的なアトピーの状態を呈していれば、皮膚治療をシッカリと行えますので、場合によっては予防できます。ただ、患者さんや医師が思う以上に、経皮感作は進行しやすいと思っています。

もう1つの予防法は、残念ながら経皮感作を受けてしまったケースです。卵を少量から食べさせることで、食べられるようにしてしまおうというやり方です。

成育医療研究センターが発表したプチスタディーでも、生後4、5ヶ月のアトピー性皮膚炎の赤ちゃんの皮膚治療を行い、生後6ヶ月から少量の卵を食べさせ続けています。実は、8割の赤ちゃんが卵の数値が高かったとされます。

1歳時に卵で負荷試験をして、発症したのが2名とされます。それ以外は発症しなかったということですから、多くは2番目の予防法で予防できたということなのでしょう。

私も、1番目の方法ではなかなか予防しきれないため、2番目の方法が現実的に有効だと考えています。

成育医療研究センターの先生は、卵を米粒くらいを連日与えるという方法をとられています。実際、そうした方がいいのでしょうが、多くの医師が生後6ヶ月とか、8ヶ月の赤ちゃんに卵白を与えることに抵抗があるのだろうと思います。何故なら、離乳食では卵は卵黄から与えるものだから。

当院では、卵黄から与える方法を採用しています。これなら多くの医師にとっても、腑に落ちる方法だろうと考えています。

それと、生後1歳の時点で卵アレルギーかどうかを判定する負荷試験を行っていますが、私は1歳になったばかりの時点でシロクロをつける必要はないだろうと考えています。

成育医療研究センターの研究は素晴らしいものですが、多くの医師にとって実践するにはハードルが高いのだろうと思っています。それが証拠に、同じ方法をやっている医師はほとんど見かけません。

当院では、卵黄から与え、生後1歳になったばかりの時点をゴールにはしていません。多分、多くの医師にとって受け入れやすい方法なのかなと考えています。

来年は、具体的な食べ進め方について発表しようと考えており、ほとんど症状を起こすことなく、仮に起こしても軽微な症状で済む方法を提案していこうと思っています。

とりあえず、発表のエントリーが間に合ってよかったです(大汗)。

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