今は、学会に行けば、食物アレルギーは花形です。 私が食物アレルギーに関心を持ち始めたのは、今から18年前のことでした。当時は、学会に行っても、会場は小さい部屋で、それでも席が埋まらずって感じでした。 食物負荷試験も一般的でなく、除去と言っていた時代です。学会に参加するような意識の高い医師たちであっても、除去だけの分野には関心が持てなかったのでしょう。 そんな時代から食物アレルギーという分野を見てきています。指導が、除去から少しずつ食べるという指導が180度変わった訳ですが、私はずっと関心を持ち続けてきました。 こだわり続けたため、当院には重症や変わったアレルゲンの患者さんも集まってくれるようになりました。それでも、基本的に食べさせるという方針でやっています。 昨日も、卵アレルギーは生後6とか8ヶ月だと、卵黄から食べさせいっていると書きました。卵白成分はあまり含んでいないはずなのに、症状が出る人もいます。食物アレルギーは繊細な目が必須なんだろうと考えています。 専門医でさえも、対応は難しいのに、専門でもない小児科医が、分かったフリをして変なことをいうケースも見かけるようになりました。 先日は、牛乳を摂ってアレルギー症状を起こした患者さんに、家で20ml飲ませ、1週間に2回は飲むようにして、5mlずつ増やしていきなさいという指導をされていました。 開業医の一部は、最近は口を揃えて「家で少しずつ増やしていきなさい」と言っていますが、このケースは病院の医師でした。食物アレルギーは専門でもなく、負荷試験もやっていません。そんな医師が、こんな具体的に患者さんを危険な目に合わせるかもしれないような指導をしていることに驚きました。 そうやって飲めるようになった経験があるのかもしれませんが、食物アレルギーはそんな簡単なものではないと思います。確かに少しずつ摂っていけば、より摂れるようになることも期待されますが、体調の影響も受けるため、繊細な目が必要です。 問題なのは、負荷試験を行って、どれくらいなら摂れるかを判断してあげて、自宅では根拠のないような無理な増量をしないのが常識になっています。個人的には、卵や小麦よりも、牛乳は怖いと思っています。何もかもが中途半端で、危険この上ない指導と言えます。患者さんが不安になって、当院に来てくれてよかったと思っています。 最近は、いろんな“指導”をする医師がいます。家で食べさせなさいと言われ、アナフィラキシーを起こした患者さんもいます。医師たちの危険な指導に、お気をつけいただきたいと思っています。 |
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