小児科 すこやかアレルギークリニック

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2019/10/18
ここ数日書いてきたことは、アトピー性皮膚炎に対する軟膏の塗り方の重要性です。

ハッキリ言ってしまえば、多くの医師のいう「薄く塗ってください」とか「良くなっらすぐに保湿剤に切り替えて」というのは、正しくないということです。

ベタベタ、ギトギトに塗り続ける訳です。そもそもアトピー性皮膚炎は、湿疹を触るとだいぶザラザラしています。軟膏を薄く塗っては、塗り足りないことは明らかです。薄く塗っては、改善効果が期待できないという訳です。

しかも、慢性の湿疹なので、数日塗って止めてしまうと、良くなりかけた皮膚の上っ面を良くしているだけなので、すぐにぶり返してしまいます。多くの医師がこんな中途半端なことをやっているのですが、患者さんはそれが“治療”だと錯覚してしまっています。

湿疹を中途半端にして、掻いては悪化を繰り返すようでは、「前進」できていません。先の指導は半歩進んで、半歩下がってという、言わば足踏み状態と言えます。

プロアクティブ療法とは、ステロイド軟膏を積極的に塗り続け、湿疹をぶり返させるヒマも与えないというようなイメージの治療法です。中途半端さはまったくありません。その軟膏を塗り止めると、悪化してしまうので、塗り続けつつ、減量していくという方法です。減量というのは、ステロイド軟膏のランクを下げたり、塗るのを1日毎にするとかいうようにです。

言うのは簡単ですが、こうすると皮膚は高値安定し、掻かないので皮膚も悪化もしません。ツルツルの状態にして、それを継続することがポイントです。アトピー性皮膚炎の日本の第一人者の先生はこういうやり方をしています。

ただ、アレルギーの専門医にかかれば、どこでもこういった治療をやってもらえるかといえば、そうでもないと思います。基本的に小児科医は、アトピー性皮膚炎の治療に慣れていないように思います。周囲では有名な病院だから、アレルギー専門医だから、きちんと治療してもらえるかと言えば、そうでもなかったりします。それが現実です。

私のやっていることは、生後まもなく出てくる湿疹をアトピー性皮膚炎かどうか見極め、早期から治療に持ち込みたいということです。いつも書いていますが、湿疹があると生後3、4ヶ月から卵の感作が進み、生後5ヶ月以降は過半数が卵白陽性となってしまいます。

こうやると、食物アレルギーを予防できるもしくは軽くでき、アトピー性皮膚炎も早期介入することで、ステロイド軟膏を減量中止できるのではないかということです。

これがアトピー性皮膚炎、食物アレルギー診療の「目標」だと考えています。

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