小児科 すこやかアレルギークリニック

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生後1、2ヶ月で
2019/11/05
学会に参加してきました。

学会とは、自分のスキルアップのために参加するものです。つまり、小児アレルギー学会ですから、子どものアレルギーについて知識を増やしたいという貪欲な人が参加します。

例年通り、新潟県から参加する小児科医は少なかったです。日頃の診療で困っていない医師が多いんでしょうね。

私は、困っっていることもあるので、その辺の情報蒐集に余念がありませんでした。

日本のアレルギー診療の問題点はいくつかあると思いますが、根源的なものとして挙げたいのが、誰も早期発見、早期治療を考えていないということです。ぜんそくもアトピー性皮膚炎も県内の小児科医、皮膚科医のところから逃げてこられると、みな診断が遅いのです。

十分にぜんそくやアトピー性皮膚炎と診断できるはずなのに、風邪とか乳児湿疹と言われています。日本のルールとして、診断重視で、何度も咳や湿疹を繰り返してから診断をつけるという風潮があります。これが早期発見、早期治療を阻んでいるのです。

日本のルールが悪いとも言えるのですが、多くの医師がこの症状をよくするためにはどうしたらよいか、考えてくれていないことも問題と言えます。多くの医師が、何となく診療しているから、そこまで頭が回らないのかもしれません。

アトピー性皮膚炎は、アレルギーの入り口と捉えられており、よく言うように経皮感作を起こし、食物アレルギーにつながります。発見が遅いとどうなるか?。卵の感作が悪化します。そう言う人が多くなるという意味と、個人においても卵アレルギーの程度が悪くなるようです。

ぜんそくで実感していますが、アトピー性皮膚炎も治療が遅れると、治りにくくなるようです。いろんなことが早期発見、早期治療を阻んでいる訳です。

日本で最も使われているアトピー性皮膚炎の診断基準があります。そこには「2ヶ月以上治らない」という項目があります。当院のデータ上も、2ヶ月間ダラダラしていると、卵アレルギーが悪化してしまいます。

実は、「2ヶ月以上治らない」というルールは日本だけで、世界の他の国ではそういう縛りはありません。日本でも成育医療研究センターの大矢先生が、日本でも海外に歩調を合わせようとおっしゃっていました。

私もどうみても1、2ヶ月でアトピー性皮膚炎の可能性が高いと思われれば、そう診断しています。日本では、これまで述べてきた悪しき習慣があり、早期発見、早期治療を阻んできた訳ですが、ようやくお墨付きができつつあるということなのでしょう。

ということで、生後1、2ヶ月の“湿疹”の患者さんは、多くの医師が「乳児湿疹です」などと言われているでしょうが、痒みを伴ったり、親御さんがアレルギーを持っていたりすれば、赤ちゃんがアトピー性皮膚炎の可能性を考えないといけません。

経験上、医師から弱いステロイド軟膏をもらって、塗ってよくなり、やめて悪化する子は、だいたいアトピー性皮膚炎です。

生後1、2ヶ月の湿疹はアトピー性皮膚炎と診断して差し支えなくなってきたことを、多くの湿疹で悩む親御さんに知ってもらいたいと思っています。

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