「恋は盲目」という言葉があります。 意味は、言わずもがなでしょう。まさかかかりつけ医に恋をしている訳じゃないでしょうが、かかりつけ医の言うことは全て信じてしまう傾向にあるようです。 昨日も書きましたが、多くの医師が“乳児湿疹”という言葉をいいように使っています。実はアトピー性皮膚炎なのに、「誤診」されても気づかないのです。 中には、「アトピー性皮膚炎です」と診断した上でステロイド軟膏を処方すルと、いろいろと質問があって面倒臭いので、アトピーという言葉を出さなくていいように、乳児湿疹と言っている医者もいるかもしれません。 多くはそこまで悪気はなく、乳児に見られる湿疹は乳児湿疹と言えばいいと考えていて、そうしているのかなと思っています。 医者は誤診し、過小治療をしてしまいます。患者はそうとは知らず、延々と通わされることになります。アトピー性皮膚炎も悪化するクセがつき、食物アレルギーも付け加えられる状態となります。 実は、こういう中途半端というか、私から言わせれば、やってはいけないことを別の病気でも広く繰り返されているものがあります。 ぜんそくです。 咳は、「湿性咳嗽」と「乾性咳嗽」に分けられます。前者は読んで字のごとく、湿った咳、つまり痰の絡む咳ですし、後者は痰の絡まない咳です。 ぜんそくの時は、圧倒的に湿性咳嗽が聞かれます。ぜんそくは気管支ぜんそくのことですが、気管支で続々と痰が作られ、それを吹き飛ばそうと咳が出ますし、気管支の内側に痰がたまり、苦しくなります。 ですから、乾性咳嗽でじきに治ってしまえば「風邪だったんだろう」でいいのでしょうが、湿性咳嗽が長引けば、ぜんそくの可能性も考えないといけません。 にも関わらず、多くの医師が咳をすれば、「風邪でしょう」と診断しています。患者側も風邪(軽い病気)と診断して欲しいという心理もあるのかもしれません。 赤ちゃんの湿疹をあまりよく考えずに“乳児湿疹”と診断してしまうのとそっくりです。咳は、本当に風邪ならば、“風邪薬”でじきによくなってしまうはずです。長引いたり、“風邪薬”が効かなくても、「また風邪を引いたね」なんて言われています。 こういうことは変えるべきなはずですが、医師を変えることって難しいと思っています。それが証拠に、風邪に抗生剤を使わない説明をしっかりすると、医師に報酬がもらえるシステムがあります。 日頃診療していると、「恋は盲目」のごとくかかりつけ医を盲目的に信用している患者さんをよく見かけます。信じて薬を飲めば治る場合もあるのでしょうが、アレルギーに関してはそうはいきません。 アトピー性皮膚炎は、1ヶ月ほど治療してよくならなければ、専門医に紹介するということをガイドラインでは推奨していますが、守っている医師を私は見たことがありません。 医師が動かなければ、患者が動く。現実的な子どもを守る対処法だと思います。あまりこんなことを書くと、同業者から反発買うんだよな〜(汗)。 |
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