小児科 すこやかアレルギークリニック

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病院からのお知らせ

間隔
2020/02/13
先週末の学会で発表してきたところです。

卵を食べて既に症状を起こした患者さんや、卵の抗体価が4とか6とかと高く、卵を除去するよう指導されていた患者さんが対象でした。

こういう患者さんにいきなり卵焼きを食べさせてしまうと、アレルギー症状を引き起こす可能性があります。ですから、確実に前に進むために卵クッキーで負荷試験を行っています。

先日も書きましたが、卵がクラス6であっても、86%が何ともないのです。それを知っているから、比較的安心して負荷試験に臨むことができるのです。

あまりに一か八かの負荷試験をやっては、患者さんも気の毒ですし、こちらも精神的に参ってしまいます。

当院では、卵クッキーを食べられれば、同程度の卵の加工品を食べてもらい、次の段階を目指しています。次の段階とはカステラ1切れを意味しています。

以前は、どれくらいの間隔をもって、次の段階に進むかはよく分からず、手探り状態で進んでいたのですが、先日の学会で当院の実績をお話ししてきました。

対象は、卵アレルギーの既往がある、もしくは数値が高く除去を指示されている71名です。どの患者さんも卵クッキー、カステラ、卵焼きの順に段階に分けて負荷試験を行っています。

今回は、卵クッキーを食べられて、カステラを食べられるようになった期間を調べています。卵クッキーは3例が症状が出ましたが、食べられる範囲で食べ続けることで、次の負荷試験でクリアしています。

また、カステラも4名が症状が出ていますが、あきらめずに食べ続けて、全員カステラ1切れを食べられるようになっています。その卵クッキーを食べた時から、カステラ1切れを食べられた期間を求めています。71名全例が食べられていますので、71例の平均を調べています。

結果は、6.8ヶ月でした。つまり、半年もあれば、卵を多く含む加工品の代表とも言えるカステラを食べられるようになる訳です。

これはあくまで、平均です。食べられるはずなのに、負荷試験が延びてしまって...なんて往々にしてあったりします。実際に、卵クッキーを食べられた患者さんには、3、4ヶ月後にカステラ1切れに挑戦しましょうと言っています。

卵アレルギーで困っている親御さんは少なくないと思っていますが、このように卵クッキー、カステラと食べ進めていくには、意外と数ヶ月の間隔でいけるのだろうと考えています。

ただし、医師の指導なく自宅で患者さんが食べて、食べられるようになるかを表している訳ではありません。負荷試験をやって、明らかに食べられるであろう量を、確実に摂ってもらっているからこそ、次の段階に行きやすいのだろうと考えています。

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