小児科 すこやかアレルギークリニック

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変わり得る
2020/06/18
アトピー性皮膚炎があると、食物アレルギーやぜんそくの合併率が高まると言われています。

それを研究した論文はいくつもあると思います。例えば、患者さんに医師からそう診断されたかどうかで、病気の有無を判定した場合、医師の診断能力で差が出てしまうと思います。

「アレルギーマーチ」は日本が誇る、アレルギー疾患の発症様式です。いつも書いていますが、まず乳児期にアトピー性皮膚炎を発症し、まもなく食物アレルギーを合併し、徐々にゼーゼーを繰り返したり、くしゃみ、鼻水、鼻づまりを繰り返すようになり、ぜんそくやアレルギー性鼻炎を発症してくるとされています。

アレルギーの起点になるのがアトピー性皮膚炎だと認識していますが、現状では多くの小児科医、皮膚科医が、軽い湿疹を“乳児湿疹”と診断することが多いようです。論文を書こうという医師なら、見誤ることはないのでしょうが、最初のアトピーの診断からつまずくこともあろうかと思います。

個人的には、非常に軽いアトピー性皮膚炎も食物アレルギーを引き起こし得ると考えており、この辺は、医師により相違はあるのではないかと思っております。

次に食物アレルギーですが、卵アレルギーなら卵白の抗体価が陽性というだけでは、卵アレルギーの診断はできません。食べて症状が出たか、食物負荷試験をやってアレルギー症状が誘発された場合にのみ、診断できると思います。

しかし、成育医療研究センターさんが発表した、鶏卵アレルギー発症予防に関する論文によれば、アトピー性皮膚炎をしっかりと治療した上で、少量の卵を継続的に食べていけば、卵アレルギーを発症させなくすることができると言います。

親御さんによっては、卵を食べさせるのが怖いという方もいるでしょうし、その逆もいることでしょう。そうすると、積極的に卵を食べさせていった親御さんのお子さんが、卵アレルギーを封印できる可能性もあります。一方、つい多めに与えてしまい、卵アレルギーを発症してしまうかもしれません。

要は、親御さんの卵なら卵の与え方を統一しておかないと、卵アレルギーの頻度は変わってくる可能性が考えられます。負荷試験もそうです。最初からどうにでも卵料理を食べさせようとすれば、アレルギー症状は誘発されやすいでしょうし、段階的な無理をしない負荷試験を行えば、発症せずに済むかもしれません。

そして、ぜんそく。ゼーゼー、ヒューヒューを繰り返すことでぜんそくと診断することが多いのでしょうが、繰り返せば、よりゼーゼー、ヒューヒューしやすくなると思います。

私なら、そうならないように少し早いタイミングでぜんそく薬を処方していますが、そうすると、ぜんそくの診断が遠ざかるというか、変わってくる可能性が出てきます。

その結果、アレルギー疾患の有病率なり、合併率は変わってくるのではないでしょうか?。

現状では、複数の医師が関われば、診断や治療も変わってきて、こういったアレルギーのデータはその時の研究に仕方によって、結果が変わり得るのかなと思っています。

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