小児科 すこやかアレルギークリニック

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食べていないのに
2020/06/24
先日、他院で小麦による食物依存性運動誘発アナフィラキシー と診断されている小学生が当院を初診されました。

この病気は、ご存知の方も多いと思いますが、小麦を摂って、運動するという「食べる」のと「運動する」ことの2つが組み合わさった時にアレルギー症状をきたす病気です。

食後に運動して、広範囲に蕁麻疹が広がったため、先日救急搬送されたこともあったそうです。さぞかし大変だろうと心配になってしまいます。

前の病院を信頼して通っていたのですが、小麦も摂っていない、運動もしていない状況で蕁麻疹が出てしまったため、学校の先生の勧めもあり、当院を受診されました。

食物依存性運動誘発アナフィラキシー だと、小麦を十分量摂取し、それなりの運動量の運動をすることで発症すると考えているのですが、過去のエピソードを聞いてみると、小麦を摂っていなかったりと、食物アレルギーがあるとは言えないと考えました。

残念ながら、蕁麻疹が出ると、食物アレルギーだと早合点してしまう人が医師にもまだまだ少なくないのだろうと思います。

よくよく話を聞いてみると、運動して身体が温まると蕁麻疹が出やすいようで、必ずしも小麦は摂取していないようです。となると、少なくとも食物アレルギーではなさそうです。

実は、蕁麻疹が慢性化してくると、運動や入浴後に蕁麻疹が現れやすくなるようです。この患者さんは、小麦の除去や運動制限が行われていましたが、無駄だったようです。

この子は男の子であり、運動欲求が強い年齢であり、運動制限は簡単にはやってはいけないはずです。食物除去も同様です。でも、こんな“治療”をやられているお子さんは少なくないのだろうと思っています。

治療はこれから始めますが、蕁麻疹の慢性化。これが私の現時点での診断です。

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