ぜんそくの治療には、切り札的な薬があります。 小児ぜんそくの治療は、軽症なら内服薬、中等症以上で吸入薬、重症だと更なる吸入薬を使います。 もう少し具体的に言うと、内服薬は「オノン(プランルカスト)」や「シングレア(モンテルカスト)」などと呼ばれる薬で、かなり有効です。大昔のガイドラインには、抗アレルギー薬の内服と書かれていましたが、現在ではロイコトリエン受容体拮抗薬と呼ばれる、この薬一択という状況です。 大人のぜんそくは、吸入ステロイド薬を使います。基本、軽症から重症まで吸入薬の出番です。小児の場合は、中等症以上で大人の治療に準ずるという感じでしょうか?。 吸入ステロイド薬は、まずは気管支の炎症を抑える「フルタイド」という薬が出されることが多く、更に強力に抑えるためには、長時間作動型気管支拡張薬を配合したタイプの薬を使用します。「アドエア」という薬がよく用いられます。 先日も受診され、処方されていたのですが、アドエアの乱用が気になります。 要するに、ぜんそくっぽい症状が出ると、「アドエアが一番いい薬なんでしょう。これを使えばいいのね」って軽い感じで処方されるようです。しかも、状態が悪い時だけ使って、よくなったら止めると指導されていることがされているようです。 ぜんそくのガイドラインを見ると、このような使い方は推奨されておらず、ぜんそく発作を起こしやすい重症なお子さんに、日々連用して発作を予防するように使うものと認識しています。軽いノリで処方されていると言っても過言ではないと思います。 先日、1歳と2歳のアレルギーの兄弟が当院を受診されました。アレルギー体質が強く、ぜんそくもアトピー性皮膚炎、食物アレルギーも合併していました。 主治医から「ぜんそくっぽい」と言われていました。驚いたことに、2人ともアドエアを使うよう指導されていました。繰り返しますが、ぜんそくはぜんそくでも、重症なタイプに、継続的に連用する薬がです。 極めつけは、このアドエア。5歳以上から使えることになっていて、低年齢では許可されていません。 残念ながら、私から言わせれば、使い方がデタラメということになります。 当院も、重症で、ぜんそく症状の出やすい患者さんには処方していますが、ガイドラインに沿い、適応を守っているつもりです。まさに“切り札”的な使用を心掛けています。日頃使っている印象として、いい薬だと思っています。 適応もへったくれもなく、我流で、ゼーゼー言った時のその場しのぎ的に使われているケースをたまに目にします。 お医者さんは偉いから、どんな使い方もできてしまうようです。 |
<<前の記事 | 一覧 | 次の記事>> |