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2021/04/19
先週も書きましたが、開業医としての日々の診療はやっぱり楽しいと感じます。

もしかしたら、神様が天職として私にこの仕事を与えてくださったのかもしれません。

医師は、頭が良く、日々最新情報を取り入れつつ、実際に臨床の場で冷静沈着に物事を判断し、患者さんの改善を願うものなんだろうと思っています。それからすると、私は凡人だし、努力も足りていないし、医師が天職と言うなんておこがましいのかもしれません。

ただ、そんな不完全な私であっても、どの患者さんも改善して欲しいと願う気持ちは、誰にもそう負けてはいないと考えています。

アレルギーという分野は、多くの医師が診断すらままならず、治療も中途半端なことが多く、症状が改善していないにもかかわらず、専門医に紹介されることもあまりないように感じています。

症状を起こし続けさせていると、より症状が悪化させてしまう可能性が高く、その辺が日本の「アレルギー診療」の弱い部分だと考えます。

例えば、食物アレルギーのガイドラインには、いまだに「アレルギー症状を起こせば、向こう1年は除去しなさい」と書かれています。個人的には、これはどう考えてもおかしいと感じており、しかし現実的には、これをいいことに多くの医師が「除去、除去」と繰り返しています。

ぜんそくもアトピー性皮膚炎も、初期や軽症患者さんの対応が抜けており、これはいずれ改訂せざるを得ない事柄だろうと思っています。

最近は、健康グッズの宣伝を見れば、「これは個人的意見である」と強調しているし、医学の分野でも「エビデンス」という科学的根拠が不可欠とされます。

私の書いていることに十分なエビデンスがあるかと言われると、ない場合もあろうかと思います。ただ、日々真面目に診療に取り組んできて、今のガイドラインで薦めていることが常に正しいかと言われると、そうでないことも結構あると感じます。

そんな実際の臨床にそぐわない部分を指摘できればと思っています。

食物アレルギーで、長々と完全除去をしている患者さんも少なくありません。確かに除去したのちに治ってしまう患者さんもいるだろうと思います。しかし、小さい子どもであっても、日々いろいろと学び、賢くなっていきます。親御さんが「除去」と日々教育することで、お子さんは「洗脳」されてしまいます。

食物アレルギーは、食べないことが当たり前になり、食べられないからより一層治らないというお子さんも少なくないと思います。であれば、最近、食べているとより食べられるようになるという報告も相次いでおり、より早期に治る努力をすべきだと思っています。多分、多くの親御さんが、悪い意味ではなく、“悪あがき”をしたいのだろうと感じています。

かかりつけ医の除去一辺倒の対応に疑問を感じている親御さんに対し、「それってちょっと違うかも」、「こんな考えもあるよ」というヒントになれば、私としては有り難いことだと考えています。

特に食物アレルギーは長年除去してきて、その考えから抜け出せないドクターも少なくないし、食物アレルギーという病気の対応が過渡期にあり、真逆な指導も存在しています。

いろいろな面で多様化している時代の中で、アレルギーで困っている親御さんに「こんな捉え方もあるんだ」と感じていただくことができたらと願っています。

まあ、私の方はストレスをためない程度に、時々この場で書いていきたいと思っています。

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