小児科 すこやかアレルギークリニック

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大きな反省
2021/08/25
昨日の本の話の続きを。

昨日触れた本は、ラック先生など、近年のアレルギーの変革の原動力になった人々が取材を通して出てきます。さすがNHK。海外の医師も多く、数カ国を股にかけ、取材しています。

日本人も出てきます。制御性T細胞というアレルギーを抑え得る機構を見つけた坂口先生も出てきますが、食物アレルギーなど小児科では成育医療研究センターの大矢幸弘先生も取材を受けています。

文章の中では、それまで食物アレルギーの治療や予防は、アレルギー物質を食べないことが推奨されていた事実が書かれています。発症予防のために母に卵を食べないように指導していた時代もありました。

それは当時の日本の第一人者が、それが正しいと判断していたので、仕方のない部分のあるのだろうと思いますが、まさに真逆の指導が正しいと考えられるようになろうとは、私も考えていませんでした。

ただ、当時そういう医療を受けたいた患者さんからすれば、医者に文句のひとつやふたつ言いたくなるのでは?と思ってしまいます。

そういう流れの中で、番組に出演された大矢先生は、火中の栗を拾うというか、ちょっと損な役回りという側面もあるのではと思ったものです。

逆に、そういった患者さんに対して真剣に申し訳ないと反省し、どう打開したらいいかを考え続け、その方向性に気付いたからこそ、出演をOKされたのだろうと思っています。

本の中でも皮膚治療をすることで、食物アレルギーを減らすことのできる可能性に言及されています。それだけでなく、今日までアトピー性皮膚炎発症の可能性の高い乳児に保湿剤を塗り続けることにより、アトピー性皮膚炎の発症を減らすことができることや、生後6ヶ月から継続的の卵を摂り続けることで卵アレルギーの発症を減らすことができるなど、数多くの我々にヒントになる研究結果を披露し続けてくれています。

もしからしたら、多くの専門医の中で一番反省したからこそ、それが新たな研究の原動力になったのかもしれません。

アレルギーの新しい扉を開くきっかけになったラック先生の二重抗原暴露仮説の発表は、2008年のことでした。ちなみに、個人的に卵やミルクの数値が高くても加工品を食べさせ始めたのは、2002年のことでした。信じてやってきたことが正しかったと報われた思いがしたのを懐かしく思います。

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