小児科 すこやかアレルギークリニック

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やってはいけないこと
2022/05/27
私が医者になった頃のアトピー性皮膚炎の治療についてです。

当時の教科書には、湿疹を悪化させている食物を探し当てることと、ステロイド軟膏は弱いものなら少し使ってよいと書かれていました。

湿疹の状況と日々の食事を観察し、悪化した時の原因食品を見い出すのです。それが難しければ、とりあえず卵と乳、大豆の3つを除去するのだそうです。

いま、食物アレルギーはパラダイムシフトを迎えたと言われています。天地がひっくり返えるくらいのことが起きているという意味合いです。

要は、「除去」から「食べさせる」に変わっている訳ですが、仕方ないとは言え、今になって振り返ると、私の今やっていることと正反対のことをやっていたことになります。早期から食べさせて慣れさせることが必要なのに、「食べるな」ですから。

それと食物除去をすべきであって、ステロイド軟膏はほとんど使ってはいけないと考えられていました。

それが未だに多くの小児科医の中にあって、ステロイド軟膏をちょっと使っては止めて、悪化したらまたちょっと塗ってと指導する医師が少なくありません。

ちなみに、私はアトピー性皮膚炎を早期に見つけて、“アグレッシブな治療”を行なっています。これは湿疹が出て、アグレッシブな治療を早いタイミングで行えば、2歳時の食物アレルギーを減らすことができるという論文に基づいています。

そうしていると、以前の推奨されていた治療は、ステロイド軟膏を使わないことで、食物アレルギーも増えるし、アトピー性皮膚炎の湿疹を抑えていなかったんだと気付かされます。

結局、以前教科書に記載されていた「食物除去」と「ステロイド軟膏を使わない」という二つの柱は、やってはいけないことだったのではないかと思えるのです。

最近、重症なアトピー性皮膚炎や食物アレルギーが減っているように言われますが、時代が変わって、その辺が是正されているからなのではないか?と考えています。

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