「田中先生ですか?」。学会会場で、発表前の緊張した状態で椅子に座っていると、突然声を掛けられました。私の発表はそのセッションの先頭だったので、少し早めに会場についていました。発表する壇上近くの待機用の椅子に座っていたので、同志の先生は私だと確信を持たれたようです。
これが、つい最近メールから知り合った小児アレルギーの専門の先生と初めての顔合わせでした。メールで事情やアレルギーに関する知識はやりとりしていたので、初めて会った気がしない程会話がはずみました。ほどなく私の発表の開始を告げるアナウンスがあり、「また懇親会で」と一旦別れました。お陰さまで緊張もだいぶほぐれたように思います。
夜になり、その先生と懇親会の会場で再会しました。日中のちょっとの会話でその先生の小児アレルギー医療に対する情熱が伝わってきましたが、話し込んでみると、やっぱり「あっちっちー」な先生でした。会話が進むにつれて妙に不思議だったのは、私は福岡の病院で小児ぜんそくとアトピー性皮膚炎、食物アレルギーを中心に勉強させて頂きました。その先生はぜんそくは神奈川、アトピーと食物アレルギーは愛知のアレルギー専門病院で研修をされたそうですが、治療法や対処法などことごとく一致するのです。アレルギーという学問の基本は共通だということなのですね。
話し込んでいたら、いつの間にか懇親会が終わってしまっていました(汗)。午後9時過ぎに会場を出て、近くの居酒屋へ。小児アレルギーの問題点などを語り合いました。会話しているうちに0時になってしまいまいした。店を出ても立ち話すること1時間弱…。私がホテルに帰ったのは1時過ぎでした。いやー、久々に盛り上がりました。その先生からパワーをもらいましたね。
いろいろ話してみて、医療は「情熱」が大切なんだと思い知らされました。話していて気迫すら感じました。アレルギーの重症な患者の場合は、専門ではない先生にとっては対応が難しいと思われ、治療の“引き出し”をたくさん持っている専門家の方が上手に対処できると思います。ただし、問診や病気自体、治療の説明には時間がかかりますので一人当たりの診療時間が長くなってしまいます。その先生が一番心配していたのが、アレルギーを中心に診療して医院の経営が保てるか、ということでした。先日お話しした一万件もの負荷試験をしている先生の医院もアレルギーの患者が8割以上とおっしゃっていたように思います。これからの医院は“個性”が大切だと思いますので、熱心に親身になって診療していれば、本当に困っている患者が集まってくれて何とかやっていけるのではないかと私は答えました。
その先生の医院は来年の6月が開院だそうです。私が言うまでもないのですが、ずっと情熱的な医療を続けて地域の小児アレルギー医療に貢献して欲しい、そう思いました。私も見習わなければならない部分も多く、今後も情報交換しながらエネルギーを頂こうと思っています。


