最近は発熱や胃腸炎の受診が増え、一時の“患者の9割がアレルギー”という特異的な状況はなくなってきました。ようやく地域に認知されてきたのかと少しだけホッとしています。それでも「1か月も2か月も咳が止まらない」という理由で受診されるケースもよくあります。
咳が長期間止まらないという中越の患者さんからメールで相談を受けていました。遠方からですが一度受診して頂くことにしました。じっくりと問診すれば感染症か、ぜんそくか、蓄のう症がらみかだいたい分かります。
聴診器でゼイゼイという喘鳴(ぜんめい)が聴かれれば、まずぜんそくを考えなければなりませんが、いつも喘鳴が聴かれるとは限りません。6歳以上でしたので「肺機能検査」も参考にできます。肺機能検査とは気管支の“太いところ”、“細いところ”、その間の“中くらいのところ”が狭くなっていないかどうか調べる検査です。ぜんそくの場合ですと気管支が収縮している上に、更に内側に痰が貯まったために、特に細い気管支の点数が下がります。大して症状がなくても、この検査でぜんそくが隠れていると探り当てることもできます。またここで「吸入」をして、吸入後に点数が明らかに上がれば、ぜんそくの治療としての吸入で治療効果があったと考え、ぜんそくと考えるテクニックがあります。
かといって肺機能検査が異常ないからといって、ぜんそくを否定できる程簡単なものではありません。今日は触れませんが「気道過敏性試験」といって気管支が敏感かどうか調べる方法もあります。これは1人当たり1時間以上かかってしまうので、医者が一人しかいない開業医ではほとんど行われていません。肺機能検査といい、かなり専門的な検査です。
話を元に戻しましょう。その患者さんが受診された時に、大きく深呼吸してもらってよーく聴診してみても喘鳴もありませんでした。肺機能検査も異常はありませんでした。ロイコトリエン受容体拮抗薬や呼吸器感染症によく使われる抗生剤も既に使われていました。普通なら咳は止まっているはずです。それでも私は問診上である特徴がみられていたので“ぜんそく”を疑っていました。気道過敏性試験をやっていたなら正常ではないだろうと確信していました。ならばと治療を工夫してみました。「2週間くらいで効いてくるはずだから」と薬を2週間処方し、つい先日再診して頂きました。
結果は予想通り治療2週間目で咳が減ってきて、再診時はほとんど咳は止まっていました。話を伺うまでは、自信がそれなりにあったとはいえ、症状が“予言”通りかどうか内心ヒヤヒヤしていました(汗)。ポイントはやはり「咳はなるべく早く止めること」です。止めないから止まらなくなるのです。秋のぜんそくシーズンは終わりましたが、それでもなお咳の長引く方は相談して下さい。呼吸器の知識と技術を駆使して頑張ります!。


