「ぜんそくかもしれないから検査しましょう」とか「アトピー性皮膚炎かどうか調べてみましょう」と言われることがある親御さんもいらっしゃると思います。今日はそれについて考えたいと思います。
小児科医のほとんどが、ぜんそく治療に参考に使っていると思われる『小児気管支喘息治療・管理ガイドライン2005』によれば、小児ぜんそくの“定義”は「小児ぜんそくは、発作性に笛性喘鳴を伴う呼吸困難を繰り返す疾患であり、発生した呼吸困難は自然ないし治療により軽快、治癒するが、ごく稀に致死的である。」と書いてあります。“診断”の項目には更に「症状が進んでくると、呼気性呼吸困難も合併してくる。このような症状を反復すれば、症候学的にぜんそくの診断をすることは比較的容易である」と記載されています。
一方、アトピー性皮膚炎の第一人者の先生がまとめられた『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2006』によれば、“定義”は「増悪・寛解を繰り返す、掻痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー素因を持つ。」と書いてあり、“診断”の欄には(1)掻痒、(2)典型的な皮疹の形態と分布、(3)慢性あるいは慢性再発性皮膚炎、(4)アトピー〈ぜんそく、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎〉の既往または家族歴の3つ以上を満たすことが必要とされています。
何か難しい言葉が並んでいると思われた方はごめんなさい。これらを事細かに説明するつもりはありません。何が言いたいかといえば、ぜんそくもアトピーも“診断”に関して血液検査は皆さんが思うほど重要ではないのです。もう一度、上の文章を我慢して斜め読みしてみて下さい。検査のことは特に触れてないですよね。
「アレルギー」は症状を何度も繰り返す病気です。アレルギー検査うんぬんよりも典型的な症状を繰り返すことが“診断”に重要視されています。ぜんそく症状を繰り返しているのに、「検査で反応が出ていなかったので、“ぜんそく”じゃないと言われました」と聞くことがありますが、今までの話でお分かりですよね?。ちなみに、小児ぜんそくは検査で陽性に出るのは90%以上です。確かにほとんどで反応が出るのですが、10%弱が陰性だという事実があるのです。またアトピーはだいたい80%が陽性となります。ということは5人に1人は反応が出ないことになります。
「食物アレルギー」も同じことが言えますよね。卵や乳製品を食べて何ともないのに、たまたまアレルギー検査で卵白の反応が出ていたりすると「卵アレルギーがありますね」と言われることもあると思います。でも食物アレルギーの“定義”は「原因食品を摂取した後に免疫学的機序を介して生体にとって不利益は症状が惹起される現象」とされます。つまり卵や乳製品を食べても何もアレルギー症状が出なければ、食物アレルギーとは“診断”できないのです。確かにアレルギー検査の値は高ければ症状が出る可能性が高くなりますが、それがすべてではないのです。
当院は説明の他に「問診」にも時間をかけていると以前書いたと思いますが、過去の症状をどれだけ繰り返しているのかを詳細に聞いているのです。“診断”があって初めてその病気に対する“治療法”を選択することができます。患者さんが医院を受診されるのは、治療のためですよね。そのためには、ある程度は時間をかけた丁寧な対応が必要となるのではないかと私は考えています。
今日の話、「スッキリ」されましたか?。


